稼働率をあげても利益が増えない

第580号

うちは、稼働率を上げれば
売上げが上がるんです。

有休5日の取得義務について
「なかなか難しい」と
本音を教えてくださった会社が
話の中でおっしゃった言葉です。


今日は稼働率と生産性を
考えてみました。

私は、製造業の会社で、
秘書の傍ら、
本社の総務の一員
として

工場の原価計算書の
原価率のチェックや
工程表の進捗
在庫の動きのチェック
なども行っていました。

「稼働率」
製造業ではよく使う言葉です。

生産できる量のうち実際に
生産した数量の割合のことを
「稼働率」と言います。

稼働率=生産数量÷生産能力

具体的な事例としては
以下、
経済産業省経済解析室資料を参考に
https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu/pdf/iip_capa-ope_gaiyou.pdf

————————————————-
1か月だけ人数を増やして
増産する(労働時間は変わらず)
⇒稼働率UP
————————————————–

————————————————
不景気で1カ月だけ
減産することにした。
人員は変わらず。
[労働時間を半分にした]
⇒稼働率ダウン
————————————————

一方、生産能力という言葉も
あります。

—————————————————-
工場でいつも通りに
設備を使用し、いつも通りの
人員数で造ることができる
最大生産量のことです。
(経済産業省:経済解析室資料の説明より)
——————————————————-

操業日数や設備、労働力で計ります。

いわばコップに入れられる
最大の水量=生産能力

実際に入っている水量の割合=稼働率

ということです。

—————————————————–
通常状態で作ることができる
生産可能な量が
「一時的」に変化した場合は
稼働率が変化。

「継続的、長期的」に
変化した場合は生産能力が変化。

という言い方もできます。
 (経済産業省:経済解析室資料より)
——————————————————-

冒頭の
うちは、稼働率を上げれば
売上げが上がるんです。

というように、

稼働率を上げることが良しと
されています。

そこばかりに目がいくと
極端に言えば、
外注使っても
あるいは
残業してでも

稼働率を上げよう
とします。

工場長の中には
外注費、残業経費という
意識が薄れていることも
多々あります。

社内ルールとして
稼働率80%と設定
している工場があったとします。

その数字に拘ったり
工場は、そもそも
機械を止めることに
抵抗があるため

80%というルールを決めた
当時の製品と、現在の製品の
原価率が違っても
稼働率80%に引きづられがちです。

稼働率神話とも
稼働率偏重とも
呼ぶべき傾向があります。

というのも、

工場全体の生産性や
効率性を図る尺度がない。

このことが、
つい稼働率を基準に
してしまいがちなんだと
思います。

稼働率は重要な指標
ではあるのですが

最大生産量を追い求めても
利益がついてこなければ
意味がありません。

経費のなかでも、
求人にかける経費や

残業すれば
残業代も増えるわけで

お金のブロックパズルを
見るまでもなく

機械を動かせば
これくらいの粗利が上がる
と、読んでいたものが

求人、採用経費や
残業代の増加が
利益{粗利-(人件費+その他経費)}
を、減らしています。

昨日、チームビルディングの
勉強会で、日本でもベストセラー
となった『The Goal』で
有名なゴールドラットが
提唱する『制約理論』について
学びました。

ちょうど、製造業の
生産性について
このブログテーマで
書こうと考えていた
ところでしたので、

制約理論は、ご存じの方も
多いと思いますが
「ゴールドラットの制約理論がよくわかる本」
から、ご紹介すると


https://amzn.to/38YYqXK


制約理論(TOC)とは、
制約条件を継続的に改善して
生産性を向上させることです。

そして、会社のゴールである
「現在、そして将来にわたって
お金を儲け続けること」を強力に
後押しする。

とあります。

つまり
利益を、最大化することを目的
としている、ということだと
読み替えることができます。

それには、「部分最適化」ではなく
「全体最適化」が不可欠です。

『全体最適』 とは

複数の生産工程のなかで、
全体の生産性を決めてしまう
例えばスピードの遅い工程
(=『制約条件』)を
最大活用して生産性を
最大化させることです。

『部分最適』とは

制約条件以外について
生産性向上をめざすことを
指します。

部分最適では
全体の生産性には
なんら影響がありません。

多様性の時代となり
人の採用も定着も
これまでのやり方では
通用しなくなりました。

現場も、今のやり方が
部分最適のやり方に
なっていないか
見直してみることが必要です。

稼働日を増やしても
残業時間を削減しても
生産性が向上しなければ

”制約条件を最大活用している”
とはなりません。

お読みいただき、ありがとうございました。

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