忘年会とコミュニケーション

第579号

私には苦い思い出があります。

それは中途採用で入社した会社での
歓迎会でした。

新入社員のあいさつをと、促され
「定年まで勤められるように
がんばります」と言いました。

この言葉は本心で、
その背景は

この会社に決まるまで、
数十社に応募して
面接にも引っかからず、
書類で落ちて、

合否を問い合わせると、
採用担当者に冷たく
「なぜ問い合わせなんか
してきたんだ」と、とがめられ

世の中の厳しさが
身にしみていた私が

たまたま登録していた紹介会社を
通じてやっと手にした正社員の
仕事でした。

私のあいさつを聞いて
社長が言った言葉が

「定年まで、ぼくは生きていないよ」
でした。

「えっ!」です。

入社してすぐの言葉がこれ?と
驚いてしまいました。

社長秘書として
採用された私は
社長が元気なうちは
置いてもらえるけれど
その後はわからない。

ということなんだろうかと?

もう、水だきのお鍋の
アクをすくいながら
頭がグルングルン
回っています。

社長としては、
それほど深い意味は
なかったかもしれませんが、

言っていることは
きっと事実なんでしょう。

置いてもらえるという
言い方も、当時の私の
不安な心境が表れていて
ちょっと切ない。

2次会に部署の人だけで
行ったな場所では
社長がいないことで
タガが外れた部長が

赤ら顔で女子社員に向かって
「チューしましょう」と
やりだしたものですから
入社して数日でしたが
真剣に退職を考えました。

そんなことがあっても
翌日は普通にみんな
業務しています。

もう完全にトラウマです。

でも、やっとつかんだ正社員。
次のところも、こんな感じかも
しれません。

結局、辞める踏ん切りがつかず、
この会社にいる間に
社会保険労務士の資格を取りました。

ここまで読んで
ご気分悪くされた方が
おられたら、申し訳ありません。

ものすごく前置きが
長くなりました。

忘年会ピークの先週
忘年会スルーという言葉がネットで
大きな話題になったようです。

もともとはNHKのニュースの
インタビューがきっかけだったそうです。

話題になったことで、
またテレビのニュースが
取り上げているのを
たまたま観た私は、
数十年ぶりに歓迎会での
トラウマを思い出した
というわけです。

若者が必ずしも好きで
参加しているとは
誰も思っていないでしょうが

ついにスルーする時代に
なったのかという感じです。

忘年会の不参加率が
その会社のコミュニケーションを
表しているとは思いません。

堂々と不参加できるなら
むしろ風通しがよいとも
言えるからです。

と、お客様に言ったら
気兼ねなんかしないで
平気で欠席するよと
笑われてしまいました。

果たしてどうなんでしょうか?

ただ言えることは、
チームビルディングで
まず最初にゲームを行い
ゲームのなかで、職場の
実態を再現して見せるように

忘年会もまた、日頃の職場風景を
再現しているに過ぎません。

つまり、
忘年会の不参加を嘆くより
日頃の職場に目を向けることです。

日頃話せないことを
忘年会で
「無礼講だから」
と言われても

これにどれだけの人が
反応して、胸襟開いて
くれるでしょうか。

仕事の場で話せないものが
忘年会で話せるわけは
ありません。

コミュニケーションは
一朝一夕で出来あがる
ものではありません。

お酒の力で
コミュニケーションが
円滑になることは
少ないでしょう。

1分でよいので、

いえ

「1分だけ話す」と決めて
特に成果がでていない部下と
上司で、話しあってみてください。

毎日1人ずつと1分話すだけで
年間就業日数265日とすると
265日×1分で、わずか
年間4時間30分。

毎月30分話すよりも(年間6時間)
よほどコミュニケーションが
よくなります。

時間より頻度が重要です。

殊勝な気持ちで
入社したはずの私は、
歓迎会で懲りて
それ以来
忘年会スルー、
自分のお別れ会も
辞退しました。

それはそれで
私の態度も
どうかと思いますが、

そう言えば、上司との面談
この会社では、したこと
なかったです。

お読みいただき、ありがとうございました。

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