人事承継ノウハウ(5)育つ仕組みと組織作り

1.どうやって育つのかを伝える

育つ仕組みとは社員が成長する仕組みのことですが、どうすれば社員は成長するのでしょうか。それは、どうすれば成長できるのかを、社員が知っているかどうかです。上司や社長が、社員にどうすれば成長できるかを、社員がイメージできて行動に移せるように伝えることです。

どうすれば成長できるのかを伝えているでしょうか。社員がイメージできて行動に移せるように伝えられているでしょうか。

2.成長をイメージする

成長をイメージするには、上司と部下のコミュニケーションが何より不可欠です。評価の後に行うことが多いフィードバック面談を、日常の通常業務として取り入れることをおすすめします。

ほんの5分でも部下との接触頻度を上げることは効果があります。ポイントは、何か指導やアドバイスをするのであれば、1つに絞りましょう。基本的には、部下に現状の説明をしてもらい、上司は聴き役に回りましょう。

自分の言葉で自分のことを話すと、客観的に自分の行動を振り返ることができ、気づきが得られる効果があります。1日に1回、過去を振り返る工程をはさむことで、思考や行動の修正点がみつけやすくなります。この振り返る習慣を定着させるためにも、1日5分の面談を定例化しましょう。

3.できるようになる=再現性がある

人は一足飛びには成長しません。人ができるようになるには時間がかかります。

「知らない」→「知っている」→「やってみる」→「わかる」→「できる」→「している」

この段階をクリアして、人はできるようになります。ちなみに、研修等で学ぶとは 「知らない」→「知っている」レベル。研修を活かすレベルが「やってみる」という段階です。
一番難易度が高いのが、「できる」→「している」です。

できるという段階を何度も何度も繰り返して、到達するのが「している」という無意識に行える状態です。再現性を高めるためには、できるという状態を何度も何度も繰り返し実践することです。

4.自立した組織を作る

平成もあと1年を切り、大きく価値観が変わってきていることを実感させる出来事が起こりました。財務省の書類の書き換えやレスリングのパワハラ、アメフトで有名な大学の悪質なタックルなど。これら出来事は氷山の一角です。

ごまかす、隠ぺいして、いつも個が犠牲になるパターン
組織ぐるみを個人レベルに矮小化して幕引きする構造
そして組織は個より優先するという理論がまかり通っている価値観
ここをおかしいと感じなければ、これから未来に通じる組織作りはできません。

ワークライフバランス、健康経営などが提唱される今、どうやって組織を作るのがよいのでしょうか。中小企業でよく耳にするのが、ひとりで考えて行動できる、自立した組織になりたいというもの。自分で考えて自分で決めて自分で行動するということを自立というなら、それだけでは組織はバラバラになってしまいます。

必要なことは
1.自分で考えて自分で決めて自分で行動するという個の自立
2.自分の行動が組織の目標達成に繋がっているかをイメージできている。
※上司の指示で会社の目標達成を目指すのは、自立とは言いません。
3.自分の行動が他のメンバーの目標達成と繋がっている。他のメンバーの目標達成の助けになっている。

独りよがりでなく、周りを見れているかということ。この3つの視点がそろってこそ、自立した組織になります。

5.組織のモチベーションを上げる

組織のモチベーションを話す前に、人のモチベーションを上げる方法について触れておきます。チームビルディングでは根幹の考え方ですが、

「人の強みで人の弱みをカバーする」
「誰かの強みで、誰かの弱みをカバーする」

自分が人の弱みを助けたら、感謝されてうれしいし、やりがいを感じます。

自分の弱みを誰かに助けられたら、ありがたい、感謝の気持ちを持ちます。

会社の風土として、人の強みを活かすこととセットで、弱みをカバーしようという考え方が根付けば、人のモチベーションは上がります。

では、組織のモチベーションはどうでしょうか。

組織で気をつけなければならないのは、組織の役割と人を混同してしまうことです。人と“こと”は分けて考える視点が大切です。“その人”に焦点をあてるのでなく、行動であったり、役割に焦点をあててみましょう。組織が硬直したり、縦割りになるのは、何か問題があれば、“その人”’の問題として、人を追及することになりがちです。そうではなくて、起こった事実に目をむけることが、人と“こと”を分けるということです。

6.配慮のあるコミュニケーションを意識する

会社の中での人間関係のトラブルは、話していればこじれることがなかったと言えることが少なくありません。組織作りにはは不可欠です。コミュニケーション=本音で話すこと。と考える方も多いと思いますが、コミュニケーションには遠慮は不要ですから、遠慮のないコミュニケーションであっても、それは必ずしも本音で話すこととは違うということです。

組織に必要なコミュニケーションは、配慮のあるコミュニケーションです。遠慮はしないけれど、配慮はするということです。単純に本音で話せば、コミュニケーションがよくなるわけではありません。その言動が良い結果を生み出すためという視点からのものか、どうかが肝心です。

遠慮せずに、良い結果を出すためにコミュニケ―ションを取ることが、配慮のあるコミュニケーションです。

(1)社員の強み、長所を活かして成果を出す
(2)ビジョンを作ろう
(3)関係性
(4)ルールの言語化
(5)育つ仕組みと組織作り

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