人事評価制度を後継者に引き継ぐ

第840号

連休中にテレビで放映されたアニメの
「竜とそばかすの姫」を観ました。

アニメといえばスタジオジブリ、と
思いがちですが、

「竜とそばかすの姫」はジブリの作品
ではありません。

でも、監督の細田さんは、もともとジブリに
入りたくって、試験に落ちた後も、
雑用でいいから雇ってほしいと言って
いたといいます。

そういえば、エヴァンゲリオンの
庵野秀明監督も、ジブリで一時アニメーターを
やっていました。

宮崎駿監督は二人の才能を非常に
評価していますが
二人とも、直系の後継者には
なりませんでした。

どんなに実力があっても
お互いに認め合っていても、
それだけでは後継者には
なり得ません。

引き継ぐのはビジョンや価値観。

そしてそれに裏打ちされた
組織そのものです。

そもそも、おふたりにそんな打診が
あったわけではないですが、

宮崎駿監督で、最適化されている組織を
引き継ぐのは誰にとっても並大抵では
ありません。

事業承継でも、現在の組織を
そのままに、後継者をさがすのでなく、

誰をトップに掲げても
ある程度回る組織を作ることが
後継者不足と言われるなかで。
事業承継を進めるヒントかもしれないと
思うのです。
——————————————————————–

身近な例で考えても
現社長でうまく回っている組織ほど、
引き継ぐことは難しいと感じます。

社長用にあつらえたスーツは
どんなに背丈、体形が同じでも
後継者にとって、着やすいか
どうかは別です。

私は交流会などで自己紹介するとき
──────────────────────────
社長秘書として、経営者と後継者の親子が、
会社の方針をめぐって対立したり、だんだん
仕事がつらそうになる二代目社長の姿を目に
しました。
この経験から、開業後、先代が可視化して
こなかった人事を、社員が納得するモノサシに
言語化する人事評価制度を中心にすえて、
支援しています。
───────────────────────────

と、話しています。

私自身も長女で、お婿さんに
会社に入ってもらって会社を継ぐ
というのが、なんとなくのレール
でした。

それが、無理をして地方に工場を
建てたことをきっかけに、資金繰りが
厳しくなって、会社は立ち行かなくなり、
敷かれたレールはなくなってしまいました。

もう少し、踏ん張れれば
状況は変わっていたかもしれない。
という思いは、

会社は継続しなければならない、
という
今の私自身の仕事の価値観に
つながっています。

これって、ある意味、父親のおかげです。

後継者でなくなったから、
私は気づけたんだと思います。

だから、というか
同じ会社のなかで、
親の経営者としての苦悩や
がんばりに、気づくことは難しい
ことだと感じます。

今、奇しくも後継者社長と
ご縁をいただいています。

関わらせていただく会社を見ると、

創業者に比べて、多くの後継者は、
お金よりも人の問題で悩むことが
多いように思います。

先代であったり、
社員であったり
自分自身の本音だったり、
です。

その中の、社員の問題を
解決しようと、人事評価制度の
ご依頼があります。

経営者が作ろうとするタイミングは
だいたい以下の2つの場面だと思います。

1.後継者に引き継ぐために現社長からの依頼。

2.先代から引き継いでようやく足固めができた
後継者社長からの依頼。

少なくとも中小企業が作る人事評価制度は、
報酬をどうやって決めるかの仕組み
というより、

どうやって社員に納得してもらうかの
仕組みづくりと言えます。

社長が作るきっかけとして挙げるものに
「後継者では報酬を決められないだろうから」
というのがあります。

「決められないだろう」の意図は、
納得してもらえないだろうということだと
理解しています。

現社長なら、納得してもらえるわけです。

そこで、現社長からのご依頼の場合

現社長の可視化されていない
評価や賃金の決め方を

いったんルールに落とし込むことで、

「今までと何ら変わっていません」
と、安心して新しい制度を受け入れて
いただくようご説明して
スタートするのが、私がご支援する
場合の大筋です。

実は、何ら変わっていません
と言いながら、今までと変わって
しまうことがないわけではありません。

そこに気づかないと
運用はうまくいきません。

現社長が可視化していなくても
納得してもらえている理由は何か?

製造業のある社長は、現場によく出向かれ
ては、社員と話をされます。

わざわざ面談の時間をとっていなくても
社員とのコミュニケーションは密です。

ですから、人事評価制度づくりでは
評価面談はしても、日常の面談は
仕事の時間が減るので、
やらなくてもよい、という考え方です。

社長いわく、それで今まで
大きな問題はなかったと言います。

社長が現場でいち早く情報を
キャッチすることで、
早期に解決してきたことも
大きな問題がなかった要因だと
思います。

ですから、日常の面談は不要だと
ご本人は思うわけです。

それは、社長だからできたやり方で、
後継者や他の社員(上司)は
そうはいきません。

可視化されていないけれど
うまくいっているなら
そのやり方を可視化、言語化
する。

という考え方は、
中小企業のオーナー会社の
作成方法として、
合理的だと私は思っていますが、

そこに、標準化できない
社長のオーダーメード的な
要素があるなら、

それを仕組みに落とし込むのか

社長独自のやり方を外しても
活用できるものにするのか

いずれにしても、
だれでも扱えるものにしなければ
ならないと思います。

社長が人事評価制度を作ろうとする
タイミングの2つ目の

後継社長が
先代から引き継いでようやく足固めが
できて人事評価制度を作ろうとする場合

スムーズに制度が定着する会社には
共通している点があります。

先代の社長のやり方でなくても
組織が回る。

後継者社長の独自色を出さない
やり方で、組織が(そこそこ)うまく
回っている状況を作り出している
会社です。


ビジョンや価値観を共有し
引き継ぐことはもちろん大切ですが、

そのためのやり方は、
この社長でなければ機能しない
ものでなく

誰がやっても使えるものを作る、
という意識が大切だと思います。

お読みいただき、ありがとうございました。
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