初任給の改定は最後の手段です

第427号

ここのところブログでも何度か取り上げていますが、
採用が難しいという声をお客様からよくうかがいます。

そんなとき、経営者が最初に行うことが
初任給の改定です。

理由は、賃金が低いから、応募者が集まらないんだ、
ということからです。

初任給については、こちらでも取り上げました。

「組織作りと初任給の見直し」
https://www.suzukey-stone.com/2019/06/11/425/

初任給の上げ方については
https://www.suzukey-stone.com/2019/04/11/362/

ただ、基本的に初任給の改定は
即効性はあるかもしれませんが、
長い時間軸で考えるとあまりおすすめ
していません。

初任給を上げることは、
できれば最後の手段にしていただき
初任給の高さプラスアルファ(会社の独自性)の
アピールで、採用に取り組んでもらいたいと
思っています。

もちろん、世間や業界相場との比較で、
低すぎる場合は別です。

初任給を動かせば、結果として
既存の社員さんの賃金も、実力関係なく
上げなければならない可能性が出てくるからです。

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さて、採用をしやすくするために初任給を上げようとするなら

一般職に該当する等級が1~3等級なら
初任給が含まれる1等級だけでなく
少なくとも3等級までは改定するかどうか
検討する必要がでてきます。

つまり、初任給を改定するということは
少なくとも、一般職全体の賃金を改定する
ということです。

検討課題は、
初任給を上げることによって
その初任給より下回ってしまう
既存の社員の賃金については、
引き上げなければならない
ということがあります。

ただ、そういう環境要因によって引き上げた
金額が、そもそもその社員の等級の金額として
ふさわしい金額かどうか、
検討しなければなりません。

せっかく、賃金をもらい過ぎている社員をなくそうと、
制度導入時に調整給を設けて、かつ、
何年間かでそれを減らそうと努めてきても、

またここで、新たな隠れ調整給が
生まれては、元も子もありません。

初任給を上げることによる既存社員の等級、金額
とのバランスは必ず見なければなりません。

たとえば、新卒の初任給を改定するためには、
年齢給と基本給[=実力給]の2本立てで
賃金を構成することで解消する方法もあります。

たとえば、高卒や大卒の両方を採用する場合、

大企業では、確かに金額や最初に設定する
等級、号棒を学歴で差をつけるところが多い
ようです。

でも、学歴によって初任給を決定している
中小企業は、多くはないでしょう。

ただ、そんな中小企業でも
初任給は同じかというと
違う設定をすることはできます。

それは、学歴ではなく、
入社時の年齢で金額がきまる
「年齢給」の導入です。

今は、実力以外の年功序列で
賃金を決めるのは好ましくないという
傾向ですから、

年齢給を今更?とおっしゃるかもしれません。

もちろん、実力と関係なく年齢上がるごとに
毎年増えていきますから、一定年齢までの
上限つきとします。

年齢給の利点は、実力と関係なく、
初任給を増やすことができる点です。

高卒でも大卒でも
年齢給によって差がついても
等級自体は学歴とは関係なく
評価シートの点数で決定できます。

評価点数は、実力給にのみ
反映されるからです。

評価シートは学歴に関係なく
同一のものを使用できます。

採用難を理由とする初任給のアップの場合
評価と初任給アップを別ものとするためには、
こういう仕組みが必要になります。

それでも、やはり初任給を上げることは
おすすめしていません。

なぜなら、初任給を上げたり、
難しいですが、あとから
下げたりすることは、
制度の信頼をなくすからです。

初任給を上げるなら、
そのほかの等級の金額も、
やる気を出すために見直してほしい
という意見が出てくるかもしれません。

それには対応できないとなると
会社は〇〇給とか〇〇手当を
支給して、その場を繕うことになります。

せっかく手当を整理したのに、
ということになります。

ここから制度はくずれていきます。

不満を言っていた社員が
今度は制度そのものに信頼をなくし
不安がることでしょう。

会社の事業計画に添った戦略のひとつとして、
「賃金体系の見直し」に取り組む意識が必要です。

これまで何度か初任給関連で書いてきました。

会社ごとに様々な問題が出てくるので、
正解はありませんが、

会社ごとの解決のためには、
現在の賃金体系を改訂することなしに、
初任給の改定は難しいということです。

初任給を改定するということは
ルールの変更だということを
忘れないでください。

お読みいただき、ありがとうございました。

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