副業・兼業を労使双方のメリットにする

第802号

働き方改革以降、副業、兼業を
解禁する企業は増え、

働く人の意識はコロナ禍の影響
による不安も相まって、

副業、兼業への抵抗なく、
機会があれば行いたい

という割合が増えています。

「副業、兼業を解禁していないけれど、
現実に何人かの従業員がやっているようだ」
という話も聞きます。

あるいは、

「うちの会社は副業認められていますか?」
と、聞いてくる従業員がいるという話も
聞いています。

それなら、トラブルになる前に、
会社の方針を決定しておく機が熟して
いるように思います。

でも、禁止事項を決めることは限りがあります。
労使双方にとって、メリットになるように
考えることが得策です。
————————————————————-

労働政策審議会安全衛生分科会(令和2年)の
https://www.mhlw.go.jp/content/11201250/000660780.pdf

調査結果を見ると、

副業する理由の5割以上が
「収入を増やしたいから」と
答えています。

現在の仕事で必要な能力を活用、向上させたい、
とか

活躍できる場を広げたい、
というのは

合わせて3割程度にとどまり、

まだまだ収入を増やすための
副業、兼業、というイメージなのですが、

それでも、大企業に限らず、
採用面接で

「会社は副業、兼業を認めていますか?」

と、質問されることもあるようです。


企業規模にかかわらず、
あるいは理由の如何にかかわらず

副業、兼業を活用できるために
環境の整備が必要です。

国が副業、兼業を
後押しする姿勢が
鮮明になったこともあって、

中小企業でも、多くの会社が、
それまで禁止としていた規定を、
「原則認める」へ変更しました。

この時点では、他の法改正へ
の対応と同様に、

方向性が変わったから
規定を変えた、
という感じは否めません。

今はまだ副業、兼業を
コロナ禍による減収分の補填や

本業がいつまでも続けられるとは限らない

という先行きの不安から

手に職をつけたり、
キャリアを積みたい
という、

いわゆるセーフティネット的な
意味合いが強いようです。

企業としては、それが
人材流出につながらないように、

足りないのは収入だけなのか?

副業、兼業に向かう
社員の意向(不満や不安)を
読み解く必要もあります。

この、読み解くというのも
ガイドラインで示されている

希望に応じて幅広く副業・兼業を
行える環境整備の一環のひとつだと思います。

まず、やるべきことは

ガイドラインにある、
以下の4つの条件に照らし合わせて
『問題ない』ことを確認することが
要らぬ労働問題を防ぐことになります。

※問題となる内容は

(1)労務提供上の支障がある場合
(2)業務上の秘密が漏洩する場合
(3)競業により、会社の利益を害する場合
(4)会社の名誉や信用を損なう行為や、信頼関係を破壊する行為がある場合

(1)から(4)の事実があった場合には
禁止できるという規定と、

そうならないような働き方をしましょう

という社内の共有が必要です。

そして、健康状態を懸念して
副業、兼業を禁止している企業も
多いのですが、

副業、兼業は原則労働者の自由である
という前提にたったうえで、

健康管理については、
本業、副業・兼業先の双方に
安全配慮義務を負う義務がある

という見解が示されていることにも
注意が必要です。

副業、兼業が広まっていくことは
止められそうにありません。

そうであるなら、これをネガティブな
状況としてとらえるのでなく

少しでもポジティブな状況に
するためにも、

人は自分にとって肯定的な
ことでなければ行動しないので、

「禁止」することを
挙げるだけではなく

こうしてほしい
こうやっていきましょう

という内容を会社は示して
社内で共有しておくことだと
思います。

今後、副業、兼業を理由に
残業命令を拒否するような事が
起こらないとも限りません。

その都度、個別、具体的に判断して
いくことにはなるのですが、

「副業、兼業を届け出る書面」
が備えてある、

という段階から一歩進んで

これら予測できることについては、
あらかじめ対応、方針を定めておく
ことが、

最初は手間かもしれませんが
労使双方にとって有益だと思います。

お読みいただき、ありがとうございました。

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