高津監督の「育てながら勝つ」

第803号

たまには、締切のない読書でも
してみようかと思い、

ゴールデンウイークの休日の最後に
駆け込むように読んだのが、

以前から気になっていた
新書版の
「一軍監督の仕事」育った彼らを勝たせたい
高津臣吾 著

作者は、ヤクルトスワローズを
2021年日本一に導いた現役監督です。

帯に書かれた「育てながら勝つ」
という言葉に惹かれて購入しました。

わかったことは
プロ野球も会社も、人を育てるには
時間がかかり、
育てながら勝つ(ビジネスでは成果を出す)には、
チームビルディングで実践している
人材力×組織力×関係力
このかけ合わせが必要なんだ
ということでした。


本文254ページ中141ページまで
2021年の試合の振り返りが書かれています。

正直、野球に興味がない人には
何のことやら、という内容なのですが

野球のことはわからなくても、
その詳細さは伝わってきます。

ここまで、
監督というのは、
全試合詳細に振り返れるものなのかと、
驚きました。

さながら、将棋の棋士が
指し手をすべて頭のなかに入れていて、
いつでも一手目から打ち直すことが
できるのと同じような見事さです。

すらすらと、今、目の前で
起こっているように説明できるのは
なんとなくの言動がひとつもないからで、

『すべてのことには、意味がある』
ということなんだと思います。

“育てながら勝つ”

8章からなるこの本の
6章に出てきます。

ポイントは、
“選手のマインドセットを変える”
ということだと理解しました。

監督が勝ちと育成の
あえて「二兎を追う」という
本気の覚悟を表明し、

選手本人が成長への意欲を持ち、
それをコーチ、監督が支えるという
図式です。

一軍とファームを行ったり
来たりする「1.5軍」の選手は
どうしても弱気になってしまいます。

弱気なマインドセットでは
成長が止まります。

いわゆる自分に限界を設けて
しまうということだと思います。

5回、6回の中盤を投げる投手には、

その先の終盤を締めくくる
クローザーを目指す向上心、
負けず嫌いになってほしい

とこの本の中で言っています。

人事の世界でいう2:6:2の
中間層にあたる6割の段階の
層にいる人の奮起、成長を促して、

上位2割と同程度の結果を出せば
売上は上がる、という考え方に
通じるものです。

高津監督は、選手層が薄い
ヤクルトスワローズでは、
全員が戦力になってもらって

ようやくソフトバンクやジャイアンツに
太刀打ちできると、考えています。

監督が目指す「安定的な強さ」
には、全員が戦力になる必要が
あるのですが、

育てながら勝つ、を継続
していくには
目の前の1勝が大事です。

そこそこの結果を出しているけれど
あと一歩の結果の選手や、

変わりたいと思っている選手から
変えていく(あるいは変わっていく)

彼らの成長が目の前の
1勝につながって
全体のソコアゲや再現性に
つながるということなんだと
理解しました。

これは、いわゆる組織づくりの
「人材力」です。

弱気を克服して、マインドセットを
変えるために、監督は場を用意します。

「チャレンジ枠」です。

実力的には1.5軍でも、時々
一軍に上げて出場機会を与える
というやり方です。

実戦を経験することで
目指す目標が明確になります。

この仕組みづくりが

「組織力」です。

勝負の世界で結果を出すには
メンバーは固定したほうが
勝ち星が計算できます。

古くはジャイアンツのV9とか。

固定したいけれどチャレンジ枠を
作る(機会を設ける)という、
自己矛盾もあえて抱えながらも、

絶対必要だと信じて「やる」
この姿勢が、選手、そして
コーチを本気にさせます。

ただ、その機会に見合うレベルに
到達するにも、

プロといえども膨大な時間がかかる
と言います。

だから勝ちを優先すれば、
外国人選手やFA枠で
即戦力を取ってしまいがちです。


成長を後押しするために
高津監督が挙げるのが「言葉」です。

言うべきことも大事だけれど、
あえて言わない言葉が大事だと。

高津監督でも、いまだに
伝える、伝えないの基準は微妙だと
正直に言っていますが、

「とにかくいろいろな要素を
考慮しながら最適な言葉を探す」

と言います。

一律に誰にも同じことを
言っていては通じないことに、
日々ぶち当たって

腐心している上司の方と同じです。

これは組織づくりの
「関係力」です。


どれだけ相手の強みや弱みも含めた
個性を把握できているか、

そしてそれを、どう伝えるか。

確かにそれも大事ですが、

でも、その前に

選手の育成プランを一軍だけでなく
二軍のコーチも含めて

球団として共有できているか、
連携がとれているかが
大事だと言います。

評価会議を部署の代表が集まって
評価の最終決定することも
本来は同じだと思います。

育てながら勝つ、の極意は
奇をてらったものでは
ありませんでした。

私たちの身近でも実践していることと
同じです。

やはり、組織を強化するための
人材力(人の強み)×組織力(仕組みや構造)×関係力

これを、回し続けることに尽きる
のだと、あらためて思います。

ただ、もし、その結果に違いが
あるのであれば、

高津監督には目指す理想の姿があり
「スワローズ・ウェイ」があります。

スワローズ・ウェイとは、
野村ID野球をベースとした

すべての采配に理由があるとするなら、
理論を突き詰めれば限りなく勝つ確率を
高めることが出来ると僕は信じる

そして、中長期的に常に
日本一を狙えるチームを作るため

「いま何が必要なのか?」
ということと並行して
「5年後に何が必要か?」ということを
考えながら仕事をしていく

この明快さだと思います。

お読みいただき、ありがとうございました。

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