
第1066号
初めてお会いするお客様からご質問や
相談を受けると、今でも無意識に
すぐに聞かれたことの答えを話しだして
しまうことがあります。
それの何が問題なのか、と思う方も
おられるかもしれません。
特に法律が関係してくると
しっかり、ちゃんと答えようとして
肩に力が入ってしまい、その結果、
答えが相手の意図とズレてしまうこと
があります。

お客様は法律の話が聞きたいわけ
ではないし、こちらもそういう
つもりはないのですが、
そこから離さないと誤解を招いて
しまう、と思ってしまう私との間で
話のズレが広がっていきます。
ついつい肩に力が入りますが、
肩に力が入ると、かえって話の
意図を聴きもらしてしまいます。
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新たに昇進されたり部署異動で
部下を持たれた方に簡単な
テンプレートをお渡しして、
面談のロープレをしていただくと
部下から相談されている
のだから、力になりたい、
よいヒントを与えてあげたい、
という姿勢が伝わってきます。
振り返りの場で、皆さんおっしゃるのが
途中で自分だったらこうするとか
言いたくなった、と言われます。
残念なことに、
言わずに我慢したとしても、
言いたくなったときから
部下の話にどこか集中できなく
なることが多いものです。
上司だから正解を答えなきゃ
という方向に考えてしまいます。
「ちょっと相談してもよろしいですか」
と言われると
答えてあげないと、と反射的に
思ってしまいがちです。
でも、相談=教えてほしい
と思うのは「思い込み」かも
しれません。

教えてほしい、と言ってきたと
しても、言葉を額面通りに受け
取ってはいけないのが、
コミュニケーションの難しい
ところでもあります。
教えてほしいというのが
「再訪のやり方を教えてほしい」
のではなく
「自分の今日のやり方が
合っていたのか教えてほしい」
ということだと、微妙に違います。
部下と話がかみ合わないなぁと
思いながらも、なかなか自分の
答えや考えを横に置くことができず、
話に集中しなおすことができない
ものです。
そういうときは、いったん
話を区切って、整理することが
大切です。
私自身も
「今年、育児介護休業法が
法改正があったらしいね」
とお客様に言われると、
そこから頭のなかで、ぐるぐる
法改正のリーフレットを思い浮かべ
出します。
「どこが変わったのか答えなきゃ」
が発動して、知っていること、
全部伝えようとしてしまいます。
士業の場合、知識がじゃまをする
ことがあるようにも思います。
私だけかもしれませんが、
士業として、自己を正当化したい
という思いがないとは言えません。
冷静に考えれば、お客様の数だけ
いわゆる正解はあるものだし、
お客様がどういう答えを求めて
いるのかもわからないうちに、
その質問をしないまま、
答えを探しにいくのは
きっとこういうことがお聞きに
なりたいんだろう、という
自分の考えに引きずられ過ぎて
いることと、
目の前の「言葉」に反応してしまう
からだと思います。
それこそ、肩書の力を抜いてみると、
案外シンプルに、
お客様は、うちの場合は該当するの?
程度に考え、リーフレットを読むより
話を聞いたほうがわかりやすいから
尋ねている程度だったりします。
上司の方も
自分は上司だからといって
なんでも求められるような
答えを出せるものではないと
自分のことを、少し俯瞰で
見ることができれば、
部下の話を自分のこととして
感情移入して答えを探すのでなく
どうしたら、この問題を解決
できるだろうと捉えなおす
ことができるのではないかと
思います。

だからこそ、
答えをみつけるために聴くのではなく、
相手の真意や意図を深く理解する
ために、
相手の話に集中して、話を
”聴ききる” ことが大切です。
そうして、要点を整理していけば、
その先にその話の最適解が
部下のなかで、見えてくるのだと
思います。
お読みいただきありがとうございました。
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