第1018号
初めて訪問する会社で、現状の課題に
ついてお話うかがっていたとき、
「うちはみんな仲が良いんです。
でもコミュニケーションが悪いんです。」
という話を聞きました。
仲の良さとコミュニケーションは
別ものです。
成果を上げるにはコミュニケーション
は必要ですが、そのためには仲の良さを
捨てなければならないかもしれません。
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人事評価制度のつくり方をお伝え
するセミナーでは、
運用が上手くいかないのは
具体的にコミュニケーションを
取る方法を考えていないまま、
運用を始めてしまったからだと
お伝えしています。
『具体的に』とは、
部下の行動観察、部下指導、
フィードバック、評価決定会議、
等々を指します。
これらコミュニケーションをとる
ための仕組みを、いかに業務の中
に組み込めるかがポイントです。
でもそれは、単純に回数を増やす
ことではありません。
いわゆる “密接な” コミュニケーション
を取ることがよいこと。とは考え
ていません。
密接とは、言い換えると、
「距離が近い」ということ。
人と人の距離って、
近すぎると、どうしても内向きに
なりがちです。
人事評価制度に限らず、組織全体
のこととして考えてみると、
たとえば会議で、
事前に根回しとか話し合いする
こともコミュニケーションと思い、
会議の場で揉めないことに満足
してしまうこともあります。
関係性が近いと、
「嫌がられるんじゃないか」とか、
「批判していると思われるんじゃないか」
という事で、根回しをしたりする
ことが、増えてしまうという弊害
があります。
本当のコミュニケーションは、
オープンな場で批判も大丈夫な
関係性だと思っています。
「それって違うんじゃないですか?」
こんなふうに、普通に言えるのが
コミュニケーションだと思います。
なぜ、
「それって違うんじゃないですか?」
が、必要かと言えば
組織として、
相手が何を考えているのかを
知っておくことが、
組織として機能するうえで
大切だからです。
相手が何を考えているのかを
理解するためには、
普段から、妥協や忖度すること
なく、自分の思ったことを相手
に伝えている必要があります。
普段からそうすることで、
言いたいことを言える関係性が
出来上がっていれば
良い時だけでなく、
トラブルになった時にも
いつも通り、言いたいことが
言えます。
言いたいことが言える結果、
お互いの間違いや
気づけていなかったことに
気づきがあって、
組織として軌道修正ができる
ので、成果につなげることが
できます。
簡単ではないかもしれませんが、
これまでの成功体験を思い出して
いただければわかるように
決して成果は、右肩上がりに
順調に上がっていくかというと
そうではなかったなぁと、思い
当たることがあると思います。
上向くきっかけがあったと
思います。
上向くということは、
谷に落ちている感覚もあった
ことだと思います。
上手くいくということは、
谷の大小はあるにしても
いったん谷に落ちて
そこを潜り抜けて
成果につながるという
順番があります。
これは、
アメリカの学者
ブルース・タックマンが、
成果の出るチームができるまでに
“必ず通る道” としてまとめた
『タックマンモデル』という
法則です。
1.形成
2.嵐
3.秩序
4.成果
この4つの段階を経て
組織は進化します。
嵐という谷に向かう段階で
お互いにぶつかり合って
理解しあうために
いわゆる「仲の良さ」は、
捨てることになるかも
しれません。
表面的な仲の良さを捨てる
ことで、言いたいことが
言い合える組織になることが
できる、とも言えます。
ちなみに
評価を決定する際、
それぞれの部門長が集まって
最終評価を決定する会議を
しています。
ひとりでなく、みんなで話し
合って決めていますよ、と
社員の方に安心してもらう
という側面は確かにありますが、
本質は、この場は、それぞれの
部署の評価の仕方、基準を
共有するための場です。
コミュニケーションとは
お互いの意味を共有することです。
合意は求めていません。
「相手の言いたいことを理解すること」
「相手の気持ちがわかること」です。
そのために、評価会議を行います。
評価決定会議は
“点数を決めるための場”
というのは、結果としてそうなる
のですが、
いちばん大切なことは、
各部門長が、互いの部署やお互い
を理解する場だということです。
お読みいただきありがとうございました。
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