昇給の原資の決め方を決めて昇給予定表を作る

第876号

先日、去年まで3年間人事評価制度の
作成支援をして無事に会社に仕組みを
引き継いだ会社に、久しぶりにお電話
しました。

私の場合、人事評価制度設計の作成支援
に入っているとき、

4月が昇給の会社については、だいたい
2月くらいに昇給シミュレーションを
やってみます。

その会社も、今年初めて会社だけで
昇給決定されるので、状況伺いの
お電話です。

人事部長いわく、
「そろそろ昇給の打ち合わせです。
不安もありますが、やってみます」

という力強い言葉が返ってきました。

不安の種は、自分たちが決めた
ルールに自分たちが従えるかどうか、
ということです。

ビジョンが問われるところです。
——————————————————–

ルールがなかったこれまでなら、
物価が上がるから、給料もそれなりに
上げてあげないと、みんな生活できない

という想いが先行して、
昇給額を決定していた会社も、

環境に左右されないルールを
決めることが、

むしろ、一時の社長の想いで
額が変化するより、安心と納得が
あることに気づき、

ルールを作って、それに従うことを
決めました。

そもそも人は、数ある情報の中から
一部だけを切り取って、その面だけを見て、
判断してしまう傾向があります。

昨年の仮運用時も、あまりの
物価上昇に、ルール通りの支給
とするには葛藤があったようですが、

自分たちが決めたルールに
まず自分たち役員が従う難しさ
を実感していただけるよい機会
となりました。

ルールに従うためにも

たとえば、
昇給は会社の業績と社員の成長で決める、

と、まず決めることが大事だと
思います。

それでも、これだ!と思って
導入したルールが、

実は自分の思考とうまくかみあっていない
こともあり得るわけで、

そのまま進めてしまうことがない
ように

ビジョンに立ち戻ることも必要です。

まずはビジョンを明確にして
“ 私たちはどこを目指す ”

と決めてから人事評価制度を
作ることが大事です。

ともすると、完成させることに
集中しすぎて、目的を見失うことが
あるからです。

こういうことをその都度
社外の専門家が決めるのでなく

“ 自分たちが決めた ”
と思えることが重要です。

◇実際に指導している昇給額の決め方

実際にどうやって昇給額を
決めるのかというと

原資(予算)を決めることが大事です。

ポイントは人件費が増えても
『必要な利益を確保できるか』
です。

利益確保するためにはどれくらいの
売上(又は粗利)があればよいのか、
と、考えます。

まずは、
お金のブロックパズルを一緒に
書いて確認してみます。

売上(又は粗利)ごとに
昇給原資は変わりますから、

パターンを3つほど作ることを
おすすめしています。

・非常に業績が良かった時 

・業績が普通の時

・業績が悪かった時

『原資の決め方を決める』

それだけでも中小企業にとっては
大きな決断だと思います。

◇昇給予定表を作る

その原資の個別の割り振りは、
いろいろなやり方があると思うのですが

たとえば、次のような表を完成
させます。

縦軸に評価(例1~5 A~E)
横軸に等級

仮評価した社員の
これまでの支給金額を

1等級 評価4なら
あの社員が該当するから●●円

というように
表を埋めていきます。

社員で表が全部埋まるわけでは
ありませんが、

埋まらないところは、
前後の数字から計算で
導き出します。

その表に整合性があるかどうかを
作成時、仮運用で、

これまでの支給額との差異を確認します。

もちろん、等級が低い人に手厚く
支給する、というような意向を反映
することは可能ですし、

評価によっては、降給もあるんだと
わかるような額の設定が望ましいです。

実は、人事評価制度を社内で
作る場合、ともすると、

賃金制度と紐づけできていない、
つまり連動していないという
会社があります。

その理由が、
上司たちの評価が自信を
もって説明できるように
なってから、

という意見が多いように
思うのですが、

気持ちはわかりますが、
もったいないと思います。

社員は、評価がどうなったら
給与がどうなるのか、
この仕組みが知りたいものです。

そこしか興味がない、と言っても
過言ではないかもしれません。

そこが説明できないと、制度に
対して不信感が募ります。

それだけではありません。

会社が一番伝えたいことが
伝わりません。

「昇給原資は、社員が増やすんだ」
ということです。

原資は会社が作るもの、では
ないということを、
会社は伝えて理解してもらわなければ
ならないと思います。

なぜ、人事評価制度を作るのか。

ビジョンが問われるところだと思います。

お読みいただき、ありがとうございました。
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