経営者が安心して気持ちよく賃金を増やすために

第779号

少しずつ、日用品の値上げが
始まっています。

原材料の高騰の影響は
日本だけでなく、

世界的に、物の値段は
上がっています。

だから日本だけのことでは
ありません。

ただ違うのは、

OECDの統計データによると、
2019年の平均年収は、

OECD加盟国の中で
日本は25位、

先進7カ国の中では
最下位となっています。

日本の賃金は上がっていません。

実感されている方も
多いかもしれません。

賃金が上がっていないのに
物の値段は上がるということは、

賃金が下がっていることに
等しいわけです。

社会の値動きと私たちの生活は
今更ながら、つながっています。

そして、私たちの生活は、
当然ながら、会社の業績と
つながっています。

なかなか、それを実感してもらえない

という経営者の嘆きの
言葉を聞くこともあります。

今日は、

経営者も気持ちよく
賃金を増やし、

社員にも、会社の数字を
自分事としてとらえて
もらうための方法について
お話したいと思います。
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先ほどのOECDの統計データからも、

コロナ禍以前から
日本の賃金は低い
ということがわかります。

一方で、

良い人材の確保のため、
コロナ禍にあっても
お客様の企業のいくつかが
初任給を見直しました。

だから、賃金を上げたくない
わけではないのですが、

やり方がどうにも
ちぐはぐです。

初任給だけ上げたら、

2年ほどで、上げる前に
入社した社員の賃金を
上回ることになるかも
しれません。

そうなったら、すでに
在籍している社員の
モチベーションは
上がりません。

採用だけを考えていると
かえって、社員を失うことにも
なりかねません。

社員全体の賃金を上げることに
躊躇する会社の気持ちも
わかります。

賃金制度改定で関与してきた
中小企業のお客様の場合

・上げたら下げられない

・毎年少しずつでも賃金は上昇

させないと人が辞めていく

・解雇できない

こんなことが頭をもたげて、
全体の賃金の見直しに
踏み切れなかったように
思います。

でも、これでは
いつまでたっても
賃金を増やすことが
できません。

人件費が上がるということは
他の項目の数字が固定なら、
利益は減ることになります。

ですから、
「賃金を上げたいんだけれど」

と、ご相談を受けると、

次のようなことをおたずねします。

・利益が減っても、資金繰りは圧迫しないでしょうか。

・必要な利益を確保できるでしょうか。

一度増やした人件費は来年以降も
積みあがっていきます。

・来年の人件費アップはどれくらいになるでしょうか。

・人件費も含めたいわゆる固定費は、
どれくらい上がりますか。

・今年ほどの利益が見込めないとしたら、
返済後の利益はどれくらい残りますか。

こんなやりとりのなかから
ご相談いただいた経営者は

賃金を増やしても大丈夫
という確信がもてていきます。


「なぁんだ、そんなことか」
と、思われるかもしれませんが、

意外とこういう検証をやっていません。

ポイントは

『必要な利益を確保できるか』です。

昇給やボーナスは、社員の離職を
防ぐ手段として死守しなければならない、

と考える経営者の方は多いものです。

ですから、検証する以前に、
無い袖を振る経営者の方
案外おられます。

売上げも、人件費も借り入れも

すべてつながっています。

人件費だけを見ていては
木を見て森を見ずになって
しまいます。


お金の全体像を把握したいと
おっしゃる方に限って

部分だけを見ている傾向が
強かったりします。

多くの会社が前年対比で
昇給もボーナスを決定
しがちです。

これでは、

どうしたら私の賃金は上がるのですか?

ボーナスはどうやって決めているんですか?

社員が納得できる
説明ができません。

早いうちに、前年対比で
昇給やボーナス額を決定
するのを辞めて

賞与原資、昇給原資の
ルールを決めることだと
思います。

「ここまでなら出せます」という額、

あるいは

労働分配率

あるいは利益の何パーセント

というようなルールを作ることです。

このルールに従うことで、

経営者は、安心して、
気持ちよく支給できるのだと
思います。

お金の出入りの関連性を
つかむことが大切なのは、
社員の方も同じです。

業績がどうなれば
これくらいの賞与比率になります。

業績がこれくらいのときは
各等級の昇給額はこれくらいになります。

というように、

あらかじめ、会社が
業績連動の処遇について
説明できるようにすることで

会社の業績と自身の賃金が
つながることを意識することが
できます。

そして、忘れずに
増えることばかりでなく

業績が悪いときは
これくらいの賞与になります。

と、あらかじめ伝えることも
大事です。

経営者の方に質問するときに使う
お金のブロックパズルの作り方は、
私が所属するキャッシュフローコーチ協会が
運営する
オンライン版「キャッシュフローコーチの教科書」より

お読みいただき、ありがとうございました。

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