第269号
お正月休みに放送されたhttps://www.nhk.or.jp/docudocu/program/92110/2110233/index.html?c=top
1月5日の放送を、ごらんになった方も
いるかもしれません。
「一人前になるには10年かかる左官職人に
4年でなれる」をうたい文句に、
若者を募集する東京にある創業69年の
原田左官工業所
https://www.haradasakan.co.jp/#indexTop
深刻な職人不足の中で
1年目から現場でコテを握らせ
手厚い指導を行う育成方法に
方向転換しました。
育成の責任者は、「番頭」と呼ばれる“職人管理職”。
自らは厳しい先輩の「背中を見て育った」番頭達が、
今、全く異なるやり方で自由な価値観を持つ若者と
向き合っています。
その悪戦苦闘を追ったドキュメンタリーです。
この取り組みを始めて8年、
まだまだ悩みは多いという
大番頭と見習いさんを追いかけます。
背中を見て、技を盗んだもんだ、
というのはもう通用しない昔のことですが、
じゃあ、教えているかというと、
どうやって教えたらよいのだろう
というところで、いまだ悩んでいる
会社もまた多い状況です。
聞いてくれば教えるよ、というのは、
背中を見ろというのと同じことです。
この会社の社長は、テレビ放送するにあたり
なぜ若い人が左官を目指して頑張っているのか?
を、この番組を通してお伝えできればと思っています。
と、言います。
なぜ、若い人はがんばっているのでしょうか。
去年入社した新人が、
六角形のタイルを床一面に貼り付ける
仕事を任されました。
ベテラン職人3人をつけ、
面倒を見ながら完成させてほしい
と現場に送り出しました。
先輩職人がタイルを貼る準備を
するのだと思っていたのが、
任されたわけです。
やらせて覚えさすのが会社の方針。
完成したのは夜中の1時。
先輩たちは最後まで手を出さず、見守りました。
これに対して新人は、
「自分を削ってでも相手に尽くすのってってグッとくる。
時間がないのに手取り足とり教えてくれたりすると申し訳ないという気持ちや、ありがとうございます。という気持ち。」
と言います。
若者だって、やればちゃんと応えるのです。
正直、この会社でも納期の遅れなど、
しわ寄せはあるようですが、
やると決めたからにはやる。
その覚悟が伝わるから、新人もグッときます。
『任せる』には、何をどこまでまかせるのか、
いろいろな形があると思いますが
今回の場合は、期限とレベルです。
任せるときのポイントは、
見守ることです。
まさに原田左官工業所の番頭さんや先輩達の姿勢です。
任せて見守るとは簡単ではありません。
別の現場では、入社3年目の見習い職人が、
先輩から柱と梁の仕事を任せられました。
見習い職人さんは率直にうれしいと感じた
といいますが、先輩は出来なかったら、
全部自分がやる覚悟で任せたといいます。
結果として、手直しなしで完成。
見習い職人さんは、ひとつ何かをつかんだようで、
今度は新しい現場をひとりで任されていました。
任せることに、なかなか踏み切れない上司の方もいます。
なんでもかんでも任せればよいというわけではありません。
任せるには、任せる側にも
力量がいるということです。
どこまで任せていいか、
予測される問題はなにか
ここを見誤らなければ、
任せて育てることはできます。
なにより、任せる力という
上司力を、上司も
身につけることができます。
お読みいただき、ありがとうございました。
つまるところ「人と組織」
社長の想いを語りなおして
強み×8割の社員が育つ仕組み×関係性をデザインする
鈴木早苗でした。