希望の人事となるために

第251号

ドラマが最終回を迎えています。
ネットでは、その都度、番組を褒めたり、けなしたり。
猫の目のように評価がかわります。

日曜日に最終回の下町ロケットも、
地味だとか言われていましたが、
視聴率を維持して、いよいよ最終回を
迎えます。

最終回の一つ前、前回は、
定時で帰る軽部さんの秘密が明らかになりました。

前回の内容はここでも取り上げました。

評価制度の意義と目標

お嬢さんの病院の送り迎えのために
定時で“いったん”あがらなければならず、
その後、会社に戻り部品の検証をしている
ということでした。

若い部下はその姿に感動していましたが、
これは残業です。

タイムカードを打刻した後の
サービス残業というものです。

軽部さんは管理職かもしれませんから、
労働時間管理の適用除外かもしれませんが、
残業代だけの問題だけではありません。

ドラマとしては、軽部さんも会社や仕事を愛する
良い人だったとして観ていけばよいのかもしれませんが、

このエピソードは、
残業している=仕事への情熱がある
という図式としていて、
残業を肯定してしまっているとも言えます。

この価値観が、ちょっとまずいわけです。

残業以外のエピソードで
仕事への情熱が高く、リーダーシップのある人
として、軽部さんを描くことはできなかったでしょうか。

ドラマとはいえ、
ドラマだからこそ、
拘ってほしかったなぁとも思います。

 

今、この本を読んでいます。

残業学
明日からどう働くか、どう働いてもらうのか?
https://www.amazon.co.jp/dp/4334043860/

 

この本は、
・残業の根本的な原因の放置
・長時間労働を是正した後に広がる「将来の成果や希望」への目配りの欠如

この2つを解決するための知恵を集めた本です。

いわゆる実例という範囲での解答ではなく、
大規模調査に基づいたデータ、エビデンス[証拠]
によって構成されているのが、まさに『残業学』という
講義のような本です。

ハッとさせられたのが、
企業の視点から見たリスクの軽減を行う意味は、
経営のためにやるべきことであり、
希望を示すもののであるということ。

希望という単語に、筆者らの願いが込められています。

長時間残業体質
(高度経済成長期に残業が
当たり前の働き方で強烈な成功体験を得た)
上司たちは、マネジメント行動を変えられません。

それを”学習棄却”と呼びますが、

一度学習した知識、価値観を
捨てることができないのです。

残業発生要因をみるとき、
個人の能力不足というより

個人の努力では改善されない、
職場でおこっている現象として
とらえる必要があることがわかります。

最終的には組織の改革なのだということです。

「何が自分の組織にとって適切な施策なのか」

「効果が表面的な時間だけで測られていないか」

「施策の目的やビジョンをきちんとコミュニケーションできているか」

だから、これらをクリアできていないことが
残業施策が失敗する原因だとしています。

 

ではどうすればよいのでしょうか。

組織を変えていくことですから、

根源的に残業を抑制し、
生産性の高い組織に変えていくためには
と、考えると

 

”外科手術的な残業施策”

・残業時間の見える化
・コミットメントを高める(自分ごととしてとらえること)
・効果よりも現場の混乱などの痛みが上回る時期を乗り越える
・効果を見える化し残業代を還元する

これらによっても、
確かに短期的な成果は出せるとしても、

「働き方」そのものを変えない限り
真の組織風土が変わったとは言えません。

組織を変えるには、
外科手術でなく、漢方治療だと
この本では称しています。

つまりは

・マネジメント層の育成
・組織開発

これに行き着くのです。

どこかでまだ残業することが
仕事への誠実さ
成果への必須事項
と、とらえる価値観、風土があります。

でも、平成も終わる今、
昭和の時代にできあがった言葉の定義を
アップデートしなければならないのではないかとも
この本では言っています。

本の中では突き詰めると、
それは、
「成果」「成長」「会社」「ライフ」の定義を
変えていくことが残業対策であるとしています。

成果の定義を「努力+成果」から「時間あたり成果」へ

成長の定義を「経験の量」から「経験の質」へ

会社の定義を「ムラ」から「チーム」へ

ライフの定義を「仕事との対立」から「仕事との共栄」へ

目的はただひとつ

「仕事」が働く人の「希望」となるような
職場づくりをすることなのです。

残業対策が働き方改革なのは、
ここに真の意味があります。

お読みいただき、ありがとうございました。

つまるところ「人と組織」
社長の想いを語りなおして
強み×8割の社員が育つ仕組み×関係性をデザインする
鈴木早苗でした。

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