部下を強制せずに誘導する “ナッジな問いかけ”

第170号

昨日は思いがけず、新幹線に乗り遅れ、
結局大事なセミナーを受講することが
できませんでした。

台風の影響で早めに家を出て東京駅に
向かったはずが、着いた時には、
乗るはずの新幹線は出た後。

笑うしかなかったです。
東京駅までいつもの2倍以上の時間がかかって
疲れきってしまい、

今日は行かない、という、どちらかというと
後ろ向きな気持ちで、決断して、来た経路を戻りました。

こういう、やってしまった!
という感情のままだど、
行動力もにぶってしまいます。

そこで気持ちを切り替えるために考えたのは、
セミナー翌日やる予定だったことを、
前倒しで今日やると決めることです。

行かなかったけれど、こういう成果を出せたという
置き換えられるものを生もうと考えたのです。

こう考えると、なんとか気持ちが前向きになります。

ただし、「挽回しないと」と思う気持ちが強すぎると、
気持ちが空回りして、焦って、行動が止まってしまう
ことがあります。

そうならないためには、いったん深呼吸して
「どうありたいのか」と、
イメージを持つことができるかどうかです。

 

評価制度では、保有している能力ではなく、
実際に成果に結び付く行動で評価しています。

ですから、上司は、部下の行動を促すことが
ひとつの役割でもあります。

そこで気をつけたいことが、
どう動けばよいか悩んでいる部下に対して、
「自分はこのように動いた」
というアドバイスはしないということです。

求められたのであれば別ですが、
それでも、
人と人は違うので、
聞いたからといってそのようには動けないということは
覚えておかなければなりません。

参考までに、と上司が前置きしてから
やり方を伝えたとしても、
やはり部下としては、そちらのほうに
引っ張られます。

考え方は教えられても、
やり方そのものズバリを教えることで、
むしろ自分で考えなくなる(受け身)ことこそが問題です。

動いていれば1回で正解がみつからなくても、
どう動けばよいのか、動いているうちに
状況が変化していきます。

 

人間はかならずしも合理的には行動しない
ことに着目し、従来の経済学では示せなかった
現象や経済行動を人間の特性や心理を
経済学の中に織り込み、人間行動を
観察することで説明しようとする新たな学問に
『行動経済学』というものがあります。

行動経済学の手法のひとつに ” ナッジ ” というものがあって、
これは、直訳すると「ひじで軽く突く」という意味です。


人々が強制によってではなく
自発的に望ましい行動を選択するよう
促す仕掛けや手法を示す用語として
用いられています。

ラグビーのエディー・ジョーンズ監督は
” 背中を押してやる ” という意味で使っていました。

 

たとえ小さなことでも
今できることを実行することで
状況は変わります。

ですから、行動が止まってしまった
部下に対して上司は

 

どうしたらできるようになるか?
何をやればよいか?

と、大上段に構えたような問いかけではなく

 

できる小さな一歩は何がある?
今日できそうなことはありますか?

行動のきっかけになるような問いかけ

まさに、軽くひじでつつくような、
ちょこんと背中を押すような
言葉が有効です。

今できることを積み重ねていくことで、

自信になり、

そのうちに

最初は想像もできなかった手法を思いつき

行動できるようになっていきます。

 

なにより、上司に言われて
できるようになったのではなく、
自分自身で気づいて動けるようになった
というのが自信になります。

 

部下が最初の一歩をふみだせないとき、
ナッジの問いかけをしてみてはいかがでしょうか。

 

お読みいただき、ありがとうございました。

つまるところ「人と組織」
社長の想いを語りなおして
強み×8割の社員が育つ仕組み×関係性をデザインする
鈴木早苗でした。

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