賞与はどう配分するかより原資を増やすこと

第848号

賞与支給の時期が迫ってきました。

賞与については、
成果を出してくれている人と
そうでない人の差をつけたい、

というお話を経営者からうかがいます。

成果に報いるということですね。

そうすれば、業績も上がり
社員もやる気になって、
いいことづくめのような
気もします。

賞与で大事なことは
どのように配分するか、よりも
大切なことがあります。

原資を増やすことです。
————————————————————————

結局のところ賞与原資が増えない限り
パイの取り合いになってしまいます。

成果を出してくれる人に多く配分
すると発表すると、

どうしても自分の成果にこだわってしまい
他の人と上手いやり方を教えあう

という空気にはなりません。

いわゆる「チーム」づくりとは
逆の方向に向かってしまいます。

成果による配分をまったく否定は
しませんが、

そうであれば、その前にまず
賞与原資を増やすことを考える
ことが大切です。

社員の皆さんに伝えなければ
ならないことは

・賞与の原資は会社の業績によって
決まるということ。

・業績が良ければ全社員の賞与が増え、
業績が悪ければ全社員の賞与は減る

ということ。

業績が上がって、その次に賃金に
反映する、という順番です。

では、業績は個人個人が
成果を出せば、上がるのでしょうか。

エースがひとりがんばっても
組織としての成果があがらなければ
賞与原資が増えるところまでには
及びません。

─────────────────────────────

6人の部署があったとします。

エースひとりが500万稼いで
他の課員が300万平均稼ぐとすると

500万+(300万×5人)=2000万

これを皆がエースのやり方を真似て
500万稼げるようになれば

500万+(500万×5人)=3000万円

1.5倍になります。

エースが500万×1.5倍頑張って
750万にしても、

750万+(300万×5人)=2250万

3000万には及びません。
─────────────────────────────

やはり、真似できる上手いやり方は
共有し、教え合うことが大切だという
ことになると思っています。

一人のがんばりよりも、
そのほうが、賞与原資が増えて

結局、皆の賞与が増えることに
なると考えるからです。

今のように円安等で仕入れの
値段が高騰して、売上が増えても
なかなか粗利がついてこなかったり

みんなで稼ごう!と言っても
今までのようには業績が上がることは
難しいと感じます。

私も評価制度で
「売上」「粗利」「営業利益」を
成果目標の指標としてきましたが、
違う指標を選択する必要があります。

4年ほど前にもブログでも書きましたが、

有力な候補は「生産性」だと
思います。

働き方改革を出すまでもなく
業績の良し悪しを判断する
指標として、

生産性はこれからも、
大きな位置を占めると
思います。

生産性が低い状態では
賃金の向上は見込めない

からです。

単純に無駄を減らすと
いうことではありません。

生産性に寄与するものを
選ばなければならないと
思います。

なかでも、

実際には、
月次の数字で人時生産性を計算しても、
あくまで平均値ですから、

どういう行動が貢献しているのかは
わかりません。

そこで、毎日計測してみて
多い生産数のときと

少ない生産数のときの
行動の差をみることで

何をやって

何をやっていなかったのかを

ほぼ特定できます。

正直、毎日というのが
ハードルが高いようで
なかなかやり続けるのは
最初は難しいようです。

ただ、それがわかれば
共有化するべく、
評価項目の具体的行動
とします。

この行動を評価項目にして
皆が1~5点の評価基準で
4以上を取れるようになれば

それは「仕組み」になったと
言っていいと思います。

これらの仕組みを増やして
いくのが、生産性をあげる
カギになります。

生産性をあげるとは
仕組みを増やすことだとも
言えると思います。

一方で、生産性向上のためには
人の強みを活かす
チームビルディングの視点から、

任せる仕事×任せる人の
組み合わせも大切です。

ですから、すべての行動を
マニュアルにして、標準化する
ことは考えていません。

ただ、組織として生産性を上げる、
と考えれば、
できるものは、仕組みに落とす。

という考え方だと思うのです。

誰もが成果を出してほしい
と経営者は思っていますが、

成果を出してくれている人と
そうでない人の差をつけたい、

即ち、

成果を出してくれる人に
報いたい。

この想いが、
社員それぞれの個の力に
頼るということでなく、

組織として(みんなで)
成果を出すために
行動に落とし込んで実践する
ということが、必要だと
思います。

評価シートは個人の成長、
成果を評価するものでは
ありますが

その先につながっているのは
組織の目標達成である

ということを忘れないように、
これからも支援していきたいと
思います。

お読みいただき、ありがとうございました。
==============================
セミナー、その他のご案内(zoom)
==============================

人事評価制度の作り方 11月17日(木)/12月21日(水) 同じ内容です。

効き脳診断オンラインセッション
https://www.suzukey-stone.com/2020/12/17/20201217/

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■
このブログを編集して、
メルマガを平日2回お届けしています。
ご希望の方は、 下記フォームよりご登録ください。

メルマガ申し込み
 

関連記事

コメントは利用できません。