評価制度に公平を求めない

第813号

評価制度を作ろうと思う理由として
「社員に説明できる」仕組みを作りたい。
というのがあります。

で、私は、

説明ができれば、社長がひとりで
決めていたとしても

その決定内容に根拠があって
正当性があれば、

社員は納得できるということだ
と言えるのではないかと思うんです。

現実には、根拠を示すものとして
評価シートをせっかく作る
のであれば

上司を育てるためにも
いわゆる評価制度という
仕組みに落とし込んだほうが
合理的ではあります。

でも、いくら制度が整っていても、
あるいは上司が集まる会議で
評価を決定しても、

その仕組みで決めたことに
もれなく公平さがついてくる、

というわけではありません。

評価制度に求めるものは
納得と妥当性だと思っています。

それをわかっていても
つい、公平さを制度に
求めてしまうものです。
———————————————————-

評価に限らず、
たとえば経営者が
今年度の目標を設定を
したとします。

それが昨年の150%増の
数値設定だったとき

なんの説明もなければ
無謀だ、無理だ、とか
社長の思いつきだ、

となるかもしれませんが

その数値の根拠が
過去5年間に達成した
ことがある

皆が共有している10年後の
ビジョンを達成するためには、

逆算して今年この数字に
もっていかなければならない

というような説明をされると

少なくとも無謀な設定とは
思わないでしょう。

理にかなっていれば、
つまり目標には正当性がある
ということになります。

大事なことは

複数の人間で決める
ことではなくて、

経営者一人が決めたとしても、

正当性がそこにあると
社員が感じられるように
説明できれば

それでもよい、ということ
だと思います。

評価制度では、

公平な評価をするために、
という理由もあって、

全上司の複数の目で評価を
決める会議(評価決定会議)を
取り入れている会社は
多いことだと思います。

私もこの会議は、上司の方々の
成長につながるものとして、
推奨しています。

確かに、会議で評価を決定する
ということは理にかなっています。

いわゆる考課者エラーは
小さくなる可能性があります。

評価される側の納得性も
得られると思います。

では、その評価が公平かというと
それは違うと思います。

評価する側が公平だと思っても
必ずしも社員から見れば公平では
ないというギャップは常にあります。

制度設計の時点で
公平性を意識しすぎた結果

評価項目が細分化され、
評価シートがA3縦でないと
入りきれない、

ということになったりも
します。

でも、より完璧を求めて
細かくすればするほど

その行動を観察することの
難しさ(時間がかかる等)
感じてしまうものです。

公平とは、辞書によると
————————————————–
かたよることなく、すべてを同等に扱う・こと(さま)。
主観を交えない・こと(さま)
————————————————–

これは、一朝一夕では
変わりません。

時間と労力をかけて
目指すことは

公平性ではなく
納得性であり、

完璧ではなく
妥当性ではないか

と私は思っています。

評価制度の運用のコツは
そこにあると、思います。

評価制度は作成6割、
運用しながら10割の完成を目指そう

と、いつもセミナーで
お伝えしています。

完成とは運用できている
評価制度です。

この差の4割をアップさせ、
運用できる評価制度にするには

評価制度の仕組みの
精度を上げる、

ということよりは

組織が成果を出すための
『人材力』×『組織力』×『関係力』

相手の強みや思考の違いを
理解する『人材力』

相手と課題や目標を共有する
『関係力』

これらの力を上げていくことが
先決だと思います。

お読みいただき、ありがとうございました。

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