就業規則は万能ではない

第644号鈴木早苗ブログ

先日、定例の仲間同士で
互いのお悩みごとを解決し合いながら
コーチング手法の腕も磨く
という勉強会がありました。

毎回、本気の相談ごとが、
いろいろな気づきを
与えてくれます。

今回、持ち寄った
お悩みのひとつに
新しい業務内容(コンテンツ)で
受注したが、契約書に
こういうことを
盛り込もうか、どうしようか、
というものがありました。

面談時間が延びた場合はどうするか
訪問日程のドタキャンはどうするか

などを心配して、契約書に
記載するか、どうかというものです。

つまりリスクヘッジですね。

あらかじめルールを決めておく。

必要なことですし、
最初に決めておけば
その都度判断する
必要がなくなりそうで
合理的です。

私たちが注目するのは
どうしてそういうことを
最初に決めておかなきゃと
思ったのか。ということ。

実は、どういうことを
期待してお客様は契約
されたのか?

どうなりたいのか?

契約の目的や、
契約満了時になりたい姿が
不明瞭で、共有されて
いないことが
気になっていたんだと、

相談者の仲間は
コーチングの中で
気づきました。

思い出したことが
あります。

自分で決めたルール
(マイルール)は
守れています。

例えば、
自分で決めた
締め切りとか。

一方で、
自分で決めたわけではない
ルールの場合は、

守れていないことも
あります。

それなのに、
何か新しいことを
行うとき、

あるいは決めるとき、

ルール化すれば
可視化、言語化されるから
すべてうまくいく。

と、思ってしまいがちです。

以前、事業を引き継いだ
ばかりの経営者から

「就業規則を作っておけば
いちいち説明しなくても
ここに書いてあると
言えばいいんですよね」

と、言われたことが
ありますが、

それは残念ながら
誤解です。

このような誤解を
うまないために

まず、確認すべき
ことがあります。

ルールを作る目的です。

あるいはその先の
成し遂げたいことです。

なぜこのような確認が
必要なのでしょうか?

そもそも、
目的がある。

ということを
確認しておかないと

そのルールを作って
守ることが目的に
なってしまいますが、

それでは、なかなか
守れないからです。

私は、これまで
就業規則ができる役割は

・労使トラブルの抑止

・何かトラブルが裁判等に
なったとき、勝てないまでも
負けないために作る

だから、想定できるだけの
穴をふさぐ就業規則を作りましょう。

と、言ってきました。

それでも実際には、
どんなに作りこんでも
労使トラブルは起こります。

そんなときは
なんともやりきれない
気持ちになったのですが、

私も、就業規則を
買いかぶっていました。

就業規則は
万能ではありません。

組織として
達成したい目的が
まずあって

それを実行するために
組織としてルールが
必要だから

就業規則が生まれるのです。

就業規則に記載して
明らかにしておくことで

労務トラブルをある程度
入り口で防ぐことはできます。

空き巣防止のために
家にカギを複数つけて
この家は入りにくそうと
思わせる効果と同じです。

でも、根本的に
労務トラブルを生む土壌を
変えるまでの役割は
担っていません。

あくまで、
実際に(実践していこうと)
決めた運用方法を
就業規則に記載するだけです。

労務リスクを根本的に
なくして、その先の
組織の目的を達成するには

組織そのものを変革する
必要があります。

ルールで人が変わるわけでは
ありません。

むしろ、ルールは後から
ついてきます。

お読みいただき、ありがとうございました。

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