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第485号
化粧品、健康食品メーカーのファンケルが
キリンホールディングスから3割の出資を
受け入れることになりました。
資本業務提携ということです。
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2社を結びつけた一番大きな要因は、
ファンケルの創業者であり会長である
池森氏の不安が大きいと
日本経済新聞は伝えています。
池森氏の背中を押したのは
「今年82歳。私がしっかり判断できるうちに社員にとって最良の道筋を付けるのが責任だと思うようになった」
今や売上が1200億円を超え、過去最高売上を
更新して、時価総額も3200億円を超えてもなお、
退任できずにきました。
「自分が突然死んだら会社がどうなるか真剣に考えてきた」
からだと言います。
いったんは65歳で社長を退きました。
そのあと、何人か社長に招いたのですが、なかなかうまくいきませんでした。
私は小売業のダイエー出身ですが、
そこで部門長だった方が後を継いだものですから
ファンケルの記事が目に入ると、気になって
読んでいました。
なかなか経営体制がうまくいかず退いて、
その後何人かが引きついだ後、池森氏が
会長に復帰しました。
そのときには業績は悪化し
「3年で経営を立て直す」
という宣言通り、見事にV字回復
してみせました。
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この経験もあって、上手くいかない
ことを考えると、いっそ、ファンケルの将来を
託せる信頼できる会社に譲った方がよい
との結論になったといいます。
このような創業者のカリスマ性が大きいと
代役はいるはずもありません。
まったく創業者とは違う実務肌の後継者
という手もあるのでしょうが、
浮き沈みの激しい業界では、なかなか
生き残るのは難しいということのようです。
そこで、カリスマ性に変えて
「大手企業の信頼感」に託そうと思ったわけです。
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事業承継は今、多くの企業が抱える問題です。
もちろん、中小企業でも同様です。
中小企業庁によると
https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/shingikai/kihonmondai/2019/download/190205kihonmondai02.pdf
今後10年の間に、70歳(平均引退年齢)を超える中小企業・小規模事業者の経営者は約245万人となり、うち約半数の127万(日本企業全体の1/3)が後継者未定。
現状を放置すると、中小企業廃業の急増により、2025年頃までの10年間累計で約650万人の雇用、約22兆円のGDPが失われる可能性
つまり、事業承継の支援は国にとっても急務なのです。
そこで、法人向け事業承継税制の抜本拡充をはかり、それまでは年間400件程度の申請であったが、拡充後は申請件数が年間6000件に迫る勢いです。
法人向け事業承継税制の抜本拡充の概要(平成30年度税制改正)
①対象株式数の上限を撤廃し全株式を適用可能に。納税猶予割合も100%に拡大することで承継時の税負担ゼロに。
②親族外を含む複数の株主から、代表者である後継者(最大3人)への承継も対象に。
③年間で平均8割以上の雇用要件を未達成の場合でも、猶予を継続可能に。
④売却額や廃業時の評価額を基に納税額を計算し、承継時の株価を基に計算された納税額との差額を減免。
それだけでなく、
後継者不在の中小企業・小規模事業者の事業引継ぎを支援するため、第三者承継への支援も行っています。
でも、何より事業承継で大事なことは、何でしょうか。
ファンケルの場合は
キリンが協和キリン(旧、協和発酵工業)を2008年に傘下に収めてからも、協和発酵の企業風土を尊重する点に好感を持っていたと言います。
経営の独立性も担保できると判断したそうです。
「会社は自分の分身」
これは創業者の多くがもつ想いです。
承継するのは人、資産、知的資産と言われています。
最初にやることは、会社の概要をつかむことです。
キャッシュフローだけでなく、社風とは、価値観とは
どういうものなのか、しっかり把握しておきたい
ところです。
事業内容に限らず、社風の合う会社に
引き継ぐことが、成功のカギです。
そのためには、準備に時間的余裕を持ちたいものです。
お読みいただき、ありがとうございました。
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