事業承継の前に人事制度をつくる

第571号

あぁ、この言葉聞いたことあるなぁ
というのが、後継者の社長への
こんな言葉

「人間としてどうかと思うんですよね。
どう思います、鈴木さん!」

そして、そういうことがあると
少しずつ社長と距離を取っていく
ようになります。

秘書をしているときも、
伝書鳩のように、社長と
後継者の間を行き来したものです。

これでは事業承継なんて
うまくいきません。

ちょっとした言葉の
行き違いといいますが、

これは後継者も
口にしていましたが、
価値観の違い。

価値観が違うから、
経営者は後継者に引き継いだ後
ちゃんと管理できるか、
不安になるのです。

自分とあまりにも
やり方が違う(ように見える)ことに。

だからこそビジョンの明確化が
大事なんですが
その前に、
なかなか近い存在だからゆえに
わかりあうのは難しいものです。

30人以下の会社で、
人事制度を、経営者と後継者と
コンサルタントで一緒に作る
ような場合は、

人事制度はどういう価値観で
評価するのかというところに
行き着くのですが、

最初にビジョンを明確にする
ことに、あまり拘らず、
人事制度というルールづくり
から入っていくことがあります。

ビジョンはいったん横において、

たとえば
人事制度を作って社員に成長
してもらい、業績を安定させる
という「目的」を共有する。
というものです。

経営陣として、やるべき使命として
この目的を共有し、自覚してもらった
うえで人事制度づくりに着手します。

目指す方向性をあわせてスタートです。

そうして評価シートを作って
いくなかで、後継者は、

経営者が何を基準として
評価しているのか

どういうふうに成長させたい
と思っているのかを
知ることになります。

また、社長自身も
一般職、中堅職、管理職シートを
考えながら作るなかで、

後継者は果たしてどのシートも
80点以上を取れるのかを
考えていくことになります。

それによって
後継者が育っているのかを
確認することになります。

社員へ望むことと
後継者へ望むことは
違いますが、

それは、管理職シートで
高い点数をとれていることが
前提です。

この納得感があると、
後々、社員に対して
自信をもって後継者を
前面に出して押していく
ことができます。

後継者に選ぶ理由は、実際は
いろいろ複合的にありますが、
管理職シートで一番高い点数を
取れている、というのは、
社員も納得できる
わかりやすいものです。

人事制度を作って3ヶ月もすると
社長の譲れない想いの輪郭が見えて
きて、社長自身の中にあるビジョンを
可視化することができるようになります。

コンサルタントとして、
「それはこういう意味ですか?」と
質問を重ねることで、
可視化のサポートをします。

後継者もそばで一緒に見ていく中で
最初は斜めを向いていますが、
最後には、社長の今までの評価や
賃金の決め方の集大成が結集した
人事制度とビジョンを受け取る
ことになります。

受け取ることはすなわち
承継するということです。

受け取ったうえで、数年後
後継者が新たな仕組みを作ることは
もちろん否定しません。

価値観を一致させることはできません。
でも、同じ目的を持って、
価値観に共感してもらうことは
できます。

親族による承継に限りますが
後継者が親の事業を承継したくない
理由のひとつとして、

「親の事業に将来性・魅力がないから」
ということが挙げられています。

「中期経営計画」などで、
後継者自身が「将来性」を判断
するとともに、

「人事制度」作成を通じて
人ののびしろ、成長で

事業の将来性や魅力を
判断してもらえるように
したいものです。

だから、私は
事業承継の前に人事制度を作ることを
お薦めしています。

お読みいただき、ありがとうございました。

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