チームビルディングは業績向上のための手法でしかありません

第421号

先週末から北海道で研修に参加していました。
これは、チームビルディングの合宿研修です。

一日目は、講師の石見先生のお客様で、
すでにチームビルディングを導入して
成果を出しておられる経営者の方をお招き
して、お話をうかがいました。

この会社は10年で営業利益が1%から20%
に成長しました。

経営者の方は、石見さんのコーチングを受けながら、
会社の戦略を1手1手打ってこられました。

チームビルディングというと、
実は私は、ゲームを使った研修が必須
だと思っていました。

でも、そうではないのです。

実はこの経営者さんも、誤解を恐れず言えば
チームビルディング自体、よくわかっておられる
わけではないのです。

チームビルディングを勉強された、という認識は
おそらく持たれていないでしょう。

そりゃそうです。

経営者は会社をよくしたいわけで、
チームビルディングがしたいわけではないです。

ですから、自分の会社の事例が果たして
お役にたてるかどうかはわかりませんが、
という控えめな切り出しでお話を始められました。

この会社は、水質浄化に必要な資材、プラント設備、
エンジニアリングを提供している資本金4800万円
社員30名弱の会社です。

石見さんは経営者をはじめ、幹部との1対1のコーチングで
会社の方向を揃えることで経営方針を進めていきました。

少人数の会社なので、社員全員が集まって研修するより、
本業に集中してほしいという経営者の意向から、社員への
研修はほとんど行っていません。

会社の規模にもよりますが、
要するに、ゲームを体感することで、社員たちが自分自身で
ゲームで起こっていることが仕事の現場でも起こっている
ということに気づいてもらうために行うものです。

コーチングで幹部が気づいてくれて、幹部が主導で
進めていけるなら、それはそれで問題ないということです。

リーマンの時にずいぶん業績が落ち込み、
リストラもした経験が今も行動を突き動かす
原動力のようです。

それが、現状に甘んじてはいけない。
と、経営者に新規事業を立ち上げさせていきます。

新規事業が増えれば、既存事業とともに、
ひとりでは管理できなくなって、
社員の誰かに任せることが必要になります。

しかし、既存の事業も
そんなに簡単に任せられる事業でも
ありません。

そこで、チームビルディングを活かして
新規事業に経営者は集中し、どんどん既存事業を
若手に任せていくというビジネスモデルを作りだします。

任せなければ生き残れない、
こんな危機感が経営者から仕事を手放し、
任せることを決断させます。

それが高じてというか、結果、
50代前で社長交代を決断し、
新社長には血縁関係のない30代の社員に
白羽の矢をたて、今年無事に継承しました。

今後、会長となって新規事業に専念
するということです。

新社長に選んだポイントは
「自分で決められる人」この1点です。

足りないところも多いけれど、すでに
8つのプロジェクトが走っている状況では
社長交代も経営戦略のひとつの工程です。

 

これまでも何度もリーダーとは

「最初に実践実行する人」
「先頭を走る人」「決断する人」と
申し上げてきました。

まさに、新社長はこの1点に置いて
秀でていたそうです。

総合的に出来た人材はなかなかいません。
そもそも今の時代は、社長ひとりで戦いぬけるほど
わかりやすくはありません。

そうであるなら、強みを活かすという思考で
役割分担すればよいということです。

コーチングを通じて、チームビルディングを
学び、知ることで、必要なリーダー像、
これからの経営の青写真を明確に描くことが
できたのでしょう。

それでも、組織が強くなるためには、
通らなければならない谷の時期が
いくつかあります。

そしてこれもまた、チームビルディングをやっている
からこそ、谷を越えてチームとして強くなれます。

「タックマンモデルの理論」というのがあります。
チームが成長する段階を、4段階で説明したものです。

①形成

②嵐

③秩序

④成果

嵐の時期には、長く勤めていた社員が意志の疎通が
出来ていなかったことから、退職するという苦い経験も
しました。

ただ、上に示すように、嵐のあとには秩序が訪れ、
成果をもたらします。

この会社もこの体験を活かして
ここから、より深く本気で社員と向き合い
ビジョンの共有をすべく、ビジョン会議を
社内で始めます。

その結果、本当は2年くらいかかる社長交代を
半年ほどで行いました。

社員とのコミュニケーションが取れていたことから、
スムーズに継承できたと言います。
苦い体験は活きています。

この会社は、これからも新規プロジェクトを
立ち上げ軌道に乗せて既存事業と一緒に
育てていくというビジネスモデルを
回していくことでしょう。

今回、経営者さんのお話をうかがい
何がこの10年で営業利益を20%にまで
引き上げたのかは、

経営にはビジネスモデルが明確かどうかが大事
人に任せることは組織開発には必須
そして、なにより社長の覚悟が大事

だと言うことです。

そして、これらの土台となって導いたのが、
チームビルディングの思考と手法です。

チームビルディングはやり方に過ぎません。

やらなければならないこと(ビジョン)があって、
そのために第三者の支援が必要だと
経営者が感じ、そして石見さんと出会って
チームビルディングを知った
ということなんだと思います。

チームビルディングは手法です。
どのような準備をして、どう使うかで
営業利益が10年で20%になりました。

チームビルディングをやれば
業績が上がる、というわけではありません。

お読みいただき、ありがとうございました。

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