
第1078号
長嶋茂雄さんが亡くなられました。
いろいろな長嶋さんらしいエピソードが
語られていますが、そのなかに
守備についていた長島(選手時代は、
こちらの表記のほうがしっくりきます)選手は、

レフト前に飛んだ打球に、
「あと何センチ、あと何10センチ飛ん
だらとれたかなぁ。ちゃんと練習しなきゃ」
と真顔で言ったそうです。
リハビリしている長嶋さんの映像
を見ても、自分に限界をつくらない
人なんだなぁと思います。
何より観てくださるお客様のために、
というのが、目的としてあって、
それが常に、突き動かしていたんだ
と思います。
目標だけだと限界があります。
目標の先の目的があるから、
限界を超えられるのだと思います。
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限界をつくらないということは
「自分にできるのは、この程度」
と、自分で決めてしまわないこと。
どうしても、過去の経験の積み重ねの
上に目標を設定していると、
自分で出来る、出来ないの線引きを
してしまいます。
最近、また運動を始めようと
パーソナルトレーニングの
体験入会をしてきたのですが、

シニアの私に、トレーナーも無理は
させませんが、
それでも久しぶりに、
「あともう1回やってみましょう」
という明るい声で追い込んでこられる
のを体感しました。
ダンベルを持って、足を上下にした
スクワット10回を3セット
前に出す足を変えてまた3セット。
下半身に効いているのがわかります。
トレーナーから3回目のときに、
10回まで数えて、終わりかと思ったら、
「あと5回いってみましょう」と
声がかかって、
ふらふらしながらなんとか4回、
できました。
トレーナーからは
「がんばりましたね」という
お褒めの言葉をいただきました。
私自身も、5回を達成できて
いないのに、満足感があります。
この感じ、以前トレーニングして
いた頃を思い出しました。
トレーナーが褒めてくれたのは
もうダメだと思ってから、
がんばれたこと、
下半身に効いているということは
確かに、トレーニングする目的の
ために1歩前進できていることへの
労いだと思うんです。
回数を達成することだけがゴール
ではないということだと思います。
私は体験の最初のヒアリングで、
いつまでも姿勢よく、杖なしで
歩けることが目標です。
と伝えていました。
そのゴール(目的)が共有できて
いたので、トレーナーからも
お褒めの言葉をいただけました。
数を達成することも大切ですが
それだけが、目的に近づいている
こと、とは言えません。
イチロー選手は引退会見で
人より頑張ることなんてとてもできない
人より頑張ることなんてとてもできない
んですよね。あくまでも、秤(はかり)は
自分のなかにある。
それで自分なりに秤を使いながら、自分の
限界を見ながら、ちょっと超えていくという
ことを繰り返していく。
そうすると、いつの日か「こんな自分に
なっているんだ」という状態になって。
だから、少しずつの積み重ねが、それで
しか自分を超えていけないというふうに
思うんですよね。
自分の中の秤、言い換えれば
目指す状態です。
目的が明確であれば、その目的
から逆算して現在地を見直して
みると
現在地から見上げる限界とは
また違った限界が見えてきます。
今まで思っていた限界を超える
ことができます。
目標管理制度では
よく、数値化できる目標に
しましょう。と言われます。

数値化することは大切ですし
見れば誰でもわかりますし、
公平だ、という意見には賛成です。
ただそれは、評価を決定する
ために、目標管理を使うので
あれば、そうなんですが、
現実には、評価シートの項目の
数値目標は達成しているのに
中期計画の業績目標は達成して
いない、
という現象も起こってしまいます。
それは、会社の目標から、部門、
個人の目標がつながっていない
からです。
つながっていないとは、
もう少し具体的に言うと、
10件新規のお客様を訪問する、
という目標をたてて、
それを達成しても成果がでない
ということがあるのは、
残念ながら、それが適切な成果
を出す目標ではないからです。
つまり、つながっていません。
評価制度づくりでも、会社が
苦労されているのは、何を定量化
するかの難しさです。
定量化できそうなもののなか
から選んで目標にせざるを得な
いという事実があるからです。
限られた範囲から選択するという
ある意味、限界を作ったなかの
目標設定と言えます。
そもそも、10件新規のお客様を
訪問するというのは「手段」
であって、目標のなかに
結果(~ができている)が含まれて
いません。
私自身も、この不都合な真実とも
言えることにいまだに明確な答え
は持っていませんが、
たどり着いたのが
目標管理制度のひとつである
OKRです。
評価することではなく
成果を出すことが目標管理の
本来の目的、に立ち戻り、
Objective 【O】
“どのような状態を目指すのか”(定性目標)
KRとの関係性で言えば「目的」
Key Results 【KR】
“どのようなことを実現できたら、Oが達成したと言えるのか?”
成果を出すための指標(定量化)
Oとの関係性で言えば「目標」
となります。
つながった、適切な項目設定が
できているかどうかの判断基準は
目指す状態【O】に近づいているか
どうか、です。
数字の達成そのものを指しては
いません。
より目指す状態に近づきたいから
限界を超えることが苦しみではなく
楽しみ、やりがいとなり、
今までにないことへのチャレンジが
モチベーションを上げて
昨日までの限界だと思っていたことを
超えられるのだと思います。

「お客様のためのプロ野球」を
目指していた長島選手が、
天覧試合で、満塁打でスキップしながら
ダイヤモンド1周する映像をあらためて
目にすると、
ホームラン1本より、またひとつ
お客様に喜んでいただけた(達成した)
喜びをあらわした姿なんだと、勝手に
思っています。
お読みいただきありがとうございました。
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