パワハラか どうかが問題ではなくて

第627号鈴木早苗ブログ

新型コロナウイルス感染症対策として
いろいろな給付金、補助金、助成金による
支援策が打ち出されました。

しかし、その申請書面は
書きづらいというクレームが
多数あがった結果、
申請数も増えていなかったり
申請しても支給が大幅に遅れたり。

仕組みを作った省庁側には、
この気持ちは、わからないことかも
しれません。

たとえば、特別定額給付金申請書では
良かれと思って、チェックをつける
項目を作っても、それがかえって
混乱の元だったりします。

“人と人は違う”と、
何度か、ブログやメルマガで書いています。

頭ではわかっている方は
多いと思います。

それでも、自分のフィルターを通して
「自分なり」の考えで書類を
作っている限りは、やっぱりうまくいきません。

「自分なり」というのが
人、それぞれ違うのです。

2020年6月1日からハラスメント防止対策が強化されます。
中小企業は、2022年4月1日からです。
https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/pdf/pawahara_kyoka.pdf

何が変わるのかというと
パワーハラスメント防止措置が
事業主の義務となります。

これまでは、その境界線が難しい
こともあって、 法律にはなっていませんでした。

いよいよ法制化です。

職場における
「パワーハラスメント」とは、
以下のように定義づけられます。

——————————————————————–
職場において行われる
・優越的な関係を背景とした言動であって、
・業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、
・労働者の就業環境 が害されるものであり、
これら要素を全て満たすものをいいます。
(注意) 客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で
行われる適正な業務指示や指導については、該当しません。
————————————————————————

いくら定義が決まっても
これをもって、
ハラスメントか、そうでないか
決めることは難しいです。

今回、
職場におけるパワハラに
該当すると考えられる例
該当しないと考えられる例

いくつか挙げられていて
イメージできるよう
配慮はされていますが、

限定列挙ではなく、
あくまで一例を挙げたものです。

厚生労働省も

個別の事案の 状況等によって、
判断が異なる場合も あり得るし、
職場における
パワハラに該当するか
微妙なものもある、

と認めたうえで、

日常においての判断は、
会社で都度、してください、
というわけです。

パワハラの類型として
以下の6つが
挙げられています。

1.身体的な攻撃(暴行、傷害)

2.精神的な攻撃(脅迫、名誉棄損、侮辱、ひどい暴言)

3.人間関係からの切り離し(隔離、仲間外し、無視)

4.過大な要求(業務上明らかに不要なことや
遂行不可能なことの強制、仕事の妨害)

5.過少な要求
(業務上の合理性なく能力や経験とかけ離れた
程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと)

6.個の侵害(私的なことに過度に立ち入ること)

パワハラを受けたと感じる社員は、
これのどれかに当てはまると
自分なりに判断して、
会社に対応を求めます。

会社はハラスメントの相談窓口を設置し、

・相談に応じ、適切に対応するために
必要な体制の整備

・職場におけるパワーハラスメントに
係る事後の迅速かつ適切な対応

これら、必ず講じなければ ならない
義務があります。

6つの類型のどれかに
含まれると感じたから
すべてパワハラ、とは言えません。

もちろん、
パワハラとは言えない
からといって、
問題がない、
ということでは ありません。

セクシュアルハラスメントのように
被害者がそう感じたか どうかが、
判断の重要な要素 であると
明示されていない、
ということです。

パワハラか
パワハラでないかを
明確に区別することが
重要ではありません。

確かに、
そこで起こっていることは
問題に違いありません。

行為者の言動の

どこにどのような問題があったのか
どうすればよかったのか

ここを明確にすることが
第一です。

ここを明確にしないまま
行為者から始末書をとっても

その後、「自分なり」に判断して
行った行為者の行為が、

被害者からすると、
「改善されていない」

という
行き違いを生み、

双方、接触を避けることで
合意していたものが
問題として再燃したことが
あります。

「自分なり」にやっていても
伝わらないものです。

自分と同じように
考えてくれるだろう
と思っても
そうはいかないものです。

”こんなことを言ったら
どう感じるかな?”

こういう思考が
できるようになることが

人と人は違うということを
認めることです。

そこがわからないと
ハラスメントは、なくなりません。

お読みいただき、ありがとうございました。

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