人材力の強化 人の弱みを強みにかえる

第302号

なんとなく見ていたドラマから
「ゲリラにも理念が必要です」というセリフが
耳に飛び込んできました。

これはテレビ東京のドラマ
「よつば銀行 原島浩美がモノ申す!~この女に賭けろ~」
でのワンシーンです。

日本経済新聞がテレビ東京の
株主であることを思い出させてくれる
経済ドラマです。

このドラマは、もともとは
1993年から1997年にかけて青年誌に連載
されていたマンガの実写化です。

都市銀行で働く女性総合職の主人公が
大胆な発想と行動力で、業績不振の支店の立て直し等
を手掛けていくというものです。
決め台詞の「恐れながら申し上げます」という
前置きからの反論や正論を、上司や取引先に臆せず放ち、
真っ当な方法で主人公の原島浩美が仕事を進めていきます。

今日の内容は、主人公の原島課長のプレイヤーとしての
活躍編ではなく、営業成績が振るわない部下に
自信をつけさせたいと動く管理職としての一面を
描くストーリーです。

いつもおどおどして、暗いと先輩だけでなく担当先
からもいじられている部下の行員が、
担当先のディスカウントショップの社長に
融資の営業の提案をしに行くのですが、
傷つくのが怖いからと自分の意見で提案できず、
自分の仕事の出来なさに

「僕なんでも時間がかかるタイプで、徐々にじゃないと
ムリなんです。原島課長みたいに何でもうまくできると
思わないでください」

と言って、心情を吐露します。

この部下、実はプラモデルを作るのがうまいと知り
原島課長は自分でもプラモデル作りに挑戦して
部下の心情を理解しようとします。

そして、自分にはプラモデルは難しい。
うまくできないと実感し、
部下はそのプラモデルを見て
課長って意外と不器用なんですね、と
人間的な一面に触れて
互いの距離を縮めます。

そして、原島課長は謝るのです。

「ごめんね、間違っていた。
みんながみんなそうある必要はなかったかも。
時間がかかるタイプでいいじゃない。
こんなふうに上手にプラモデル作れるのってすごいと
感心した。
吉田さん(部下の名前)のいいところはそうやって
時間を使ってコツコツ取り組んで完成させる
ことだと思うな」

自分の弱みと思っていた
「時間がかかる」というのを認めてくれた
上司の言葉にもう一度担当先への提案に
挑戦してみようと思った部下は

自分なりのやり方で提案しようと
プラモデルを根気よくコツコツ作るように
雨の日も毎日、店舗調査を続けます。

その結果50億ではなく、5億の融資の提案しかできない
という部下の言葉を信じて、部署の営業ノルマは顧みず、
5億の提案書でディスカウントショップの社長のところに
向かわせます。

この社長は、3年で全国100店舗を目指しています。
信念は、
俺のやり方は流通ゲリラだ。
通常の取引のすき間をつき、誰よりも安く消費者に提供する。

そのためにはスピードが重要。
立ち止まっていてはよそに客をとられてしまう、
と考えています。

一方調査の結果、安さだけでは消費者はついてこない。
根本問題を改善しないといけないと伝えた部下が
最後に社長に言い放った一言が
「ゲリラにも理念が必要です」でした。

行きあたりばったりでなく、
ちゃんと目標定めた経営の必要性を
社長も感じていたのかもしれません。

「ゲリラにも理念が必要です。と言われたら、
それは聞かないわけにはいかない」と、
その言葉に心動かされ、
この銀行との契約書にサインします。

 

人の意見で作った提案書を持ってきたときは、
メモをみないで、自分の言葉で提案内容を
説明しなさいと見透かしていた社長です。

今回の提案内容の根底に、
担当として、入念な店舗調査による
分析や検証が十分されたうえでの
提案だと勿論わかっていたのでしょう。

他行の50億の提案でなく、
あえて5億の提案で、
契約することに決めました。

” 時間がかかる ”という
本人も周りも欠点だと
思っていたことが、
強みになることがわかります。

 

そこには、支店長の
営業ノルマの達成を迫る圧力を、

「ここで50億とれなくて5億に終わっても、
そこで得た自信で、この部下が
きっと大きな成果をつれてきてくれます」

と、防波堤になる原島課長の
部下の強みを活かす支援が
効いています。

案外強みと弱みは紙一重です。

そもそも強みや弱みといっても、
それは良し悪しの話ではないのです。

時間がかかるというのは、
プラモデルづくりの面から見れば
根気があって丁寧という、
強みでもあるのです。

強みも強く押し出し過ぎれば、
やらかしてしまうこともあります。

いわゆる調子に乗りすぎた、
というような場合です。

強みも弱みも、いかにコントロール
できるかがポイントです。

これはなかなか本人には
わかりづらいこともあるので、
強みを活かすのは
上司の役割ということになります。

 

ドラマの最後、原島課長は
人のことは自分のこと以上にむずかしいけれど
「うまくいうと自分のこと以上にうれしいもんですね」
と笑顔で言います。

ひとりでも多くの上司の方に
この気持ちを味わってほしいものです。

お読みいただき、ありがとうございました。

つまるところ「人と組織」
社長の想いを語りなおして
強み×8割の社員が育つ仕組み×関係性をデザインする
鈴木早苗でした。

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