評価者エラー わかりやすいことを疑え

第265号

お正月早々、疑えなどというのは
どうかと思いますが、これは常に
私が心がけていることです。

わかりやすい、簡単に出た答えは
疑う=検証して再判断することも必要です。

 

たとえば、
■ふたつの矢印を見て、どちらが長いかをあてる。

■「猫に〇〇」 〇〇に文字を入れて完成させなさい。

■1+1の答えを答えなさい。

これらは、すべて努力せずに
回答することができるでしょう。

これは脳の中のシステム1と呼ばれる
認知機能が自動的に行うことの例です。

 

認知機能には2つのシステムがあり、
それをシステム1、システム2と提案したのが
心理学者のキース・スタノビッチとリチャード・ウエストです。

そして、このシステム1、システム2を
踏みこんで使って説明しているのが
ノーベル経済学賞受賞ダニエル・カーネマンの

「ファスト&スロー」です。

https://www.amazon.co.jp/dp/4150504105

 

システム2の例として、
「ファスト&スロー」から引用すると

■レースでスタートの合図に備える

■歩く速度をいつもより速いペースに保つ

■納税申告書を記入する

などです。

これらは、一様に注意力を要します。
注意が逸れてしまうとうまくいかないとされるものです。

 

まとめると

システム1 : 直感に関わるもので、判断のスピードは速い
という特徴があります。
その判断は自動的、無意識的に行われ、感情的である
とも言えます。

システム2 : 論理的思考に関わるもので、判断スピードは遅い
という特徴があります。
その判断を行うには意識的に作業しなければなりませんが、
感情を抑えるという特徴があります。

わかりやすいことを疑えと言ったのは、
まさにシステム1で判断したことを疑えということです。

人は直感で判断しがちです。簡単だからです。

ただ通常は、その後システム2が適切かどうか
チェックして修正します。

この修正が効かなかった時がやっかいです。

というのは、目覚めているときは、
ともにシステムはオンになっていますが、
システム2については、省電力モードで
動いています。

ですから、意識してシステム2を発動させないと、
修正が効かず、不合理な判断を正しい
としてしまいます。

 

ですから、よく言われる
「時には立ち止まって考えよう」というのは正しいし、
「わかりやすいことを疑え」なのです。

やるか、やらないか、
という二者択一ではないはずの問題を、
二者択一で選んでしまったりすることが
脳にはあるということです。

 

あるいは、評価制度において
評価者がよく陥るエラーとして
取り上げられる「ハロー効果」

ある人のすべてを、自分の目で確かめてもいない
ことまで含めて好ましく思う(あるいは全部嫌いになる)
傾向をハロー効果といいます。

これは感情的な印象で
すべてを評価しようとするもので、
システム1の特徴でもあります。

 

よって、評価するときには、
意識してシステム2で
考えるようにしなければなりません。


つまり
ちょっと待てよ。
ほんとにそうかな
と、自分の判断を疑うことです。

 

お読みいただき、ありがとうございました。

つまるところ「人と組織」
社長の想いを語りなおして
強み×8割の社員が育つ仕組み×関係性をデザインする
鈴木早苗でした。

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