最適解は最適にあらず

第654号鈴木早苗ブログ

社会保険労務士はじめ
士業等の話で恐縮ですが

「人事制度を作れるように
なりませんか?」

というような講座、塾の
案内が最近目につきます。

AIの普及によって
士業の仕事も
変化せざるを得ないこと。

同一労働同一賃金という
法律の施行。

コロナ禍による
働き方の多様化。

これらを背景として

人事制度について
提案できるように
なりましょう。
というものです。

講座や塾の内容は
主催者である会社や
コンサルタントが
実践してきた経験値を
基にした最適な方法で
作られています。

多くのテンプレートや
ノウハウも提供されます。

きっと無駄が少なく
効率がよさそうです。

いわゆる
これまでの正解を
集めた王道が
『最適解』だと
私は考えているのですが

これら講座、塾が
最適解を提供して
くれるのだと
考えれば

大きな失敗は
なさそうです。

私も10年前
養成講座で人事制度
づくりを学びました。

ですから、
このような講座で
学ぶメリットは
十分感じています。

では、
最適解は
万能でしょうか。

人事制度は
作るだけで十分
という時代も
あったのですが、

今は、運用して
その先に
業績の向上だったり
社員の成長だったりの
目的が重要視されます。

つまり、
人事制度を作るとは

作成と運用が
1セット

というのが
導入企業の
一般的な
考え方です。

「新しい習慣のサイクル」
について

これまでも
以下のように
お伝えしてきました。

「知らない」

「知っている」

「やってみる」

「わかる」

「できる」

「している」

このサイクルを

研修とコンサルティング
に、あてはめると

「やってみる」
段階までが
研修によって
得られる効果。

その先は
コンサルティングの
領域

と、
いわゆる一般的に
研修と呼ばれるものと
コンサルティングを
分けることができます。

研修だけでは
習慣となって
定着・浸透までは
難しいです。

人事制度の作成は、
いわば
「やってみる」
ところまでです。

最適解とは
言い換えれば
王道の解答の
ことで

合理的で
一定のレベル以上の
成果を出せるもの
というイメージで
話を進めさせて
いただけば、

知識を得て
体験してみる
ところまでを
指す作成段階では

最適解から
作成された
テンプレートや
フレームワークは

特に初めて
制度づくりを
する会社には
有効です。

運用はどうでしょうか。

習慣のサイクルの
「わかる」
「できる」

そして
「している」
という
状態に
持っていく
ことに
該当します。

運用とは
習慣化すること

とも言えます。

人事制度の運用
というと、研修を
思い浮かべる方も
おられるかと
思いますが、

習慣のサイクル
からも

研修だけでは、
制度が定着
浸透する
わけでは
ありません。

最適解
だけでは
限界があります。

最適解は
現状最も
適した
答えですから

前提条件が変われば
そのままでは
対応できません。

最適解ではなく
何を念頭におけば
よいのでしょうか。

そもそも
同業、同規模でも
背景、環境の違いから

組織は同じものはなく
100社100通りです。

会社ごとの
違いを活かそうとすれば

最適解よりも

臨機応変に対応できて
対応力、柔軟性がある

最のつかない
『適応解』のほうが
ふさわしいともいえます。

人事制度(作成+運用)
において、
最適解を
知っていることは
有効ですが

最適解がわかれば
作れる、という
ものではありません。

最適解の
テンプレートや

わかりやすい
フレームワーク(枠組み)も

それを偏重しすぎると
社会情勢の変化に対応して
変化、応用したいとき

足かせになることも
あります。

自戒の意味をこめて
言えば、少なくとも
士業、コンサルタントは

人事制度に限らず
お客様から何か
相談、質問を
受けたときでも

この最適解と
適応解の
使い分けの
塩梅を

わかって
いなければと
思います。

”今日の最適解は
明日の最適にあらず”
です。

お読みいただき、ありがとうございました。

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