部下を観察する

第602号

今年も野球のオープン戦が始まる、
いわゆる球春も間近となりました。

野村克也氏の訃報は、周知のとおり。

長嶋、王、そして、よく比較された
広岡達朗氏が健在であることを考えると、
84歳といえども、逝かれてしまったのは
早すぎる、惜しいなぁ、と申し上げたい
ものです。

選手としても、監督としても
多くの球団を「渡り歩いた」
という印象があります。

優勝しても解任されたり、
野村監督のもとで一緒にやった
選手、コーチでも、それぞれから見た
評価が分かれる人でもあります。

ただ、そのID野球と評された
野球理論は、今年のヤクルト
スワローズ新監督の高津臣吾監督
にいたるまで、影響を受けた人は
少なくありません。
指導者になった選手が多いです。

訃報が流れた日の翌日、
NHKが半年密着していたという
『クローズアップ現代』が放送され
https://www.nhk.or.jp/gendai/articles/4385/index.htm

「失敗と書いて“成長”と読む」など
さすがの言葉を発していました。

このNHKの放送で最初に流れた言葉

「財を遺すは下、仕事を遺すは中、
人を遺すは上とする」

ちょうど事業承継の波が
多くの中小企業にまったなしで
迫っている今、この言葉に共感される
経営者も多いことだろうなぁとも思います。

そもそもID野球とは
ID野球のIDは「Important Data」
(重要なデータ)の略だといわれています。

「import Data 」(データの導入)の略とも
いわれています。

いずれにしても、それまでの経験や
勘に頼らず、監督が示したデータを
踏まえ、考えてプレーしながら
試合を進めていくという、今なら
あたり前のことの先駆けでした。

その行動は果たして結果に
つながっているか?

これをデータという
客観的数字で判断しよう
という考え方です。

ですから、
より確率の高い戦術を選択する
非常に合理的な考え方をする
というのが、野村監督だと
思っていました。

その半生を振り返ると、非常に
多くの辛酸をなめてこられました。

その真髄はデータ偏重ではなく、
人間観察と心理の探求にあったと
いいます。

選手は、データが示すとおりの
行動をするとは限りません。

このコースに来るまで、待って打つ。
そうコーチに言われても、その前の
ボール球に手を出したりしてしまう
ものです。

そう言えば、選手時代キャッチャーだった
野村さんは、

キャッチャーに必要な
三大要素は、「分析」「観察」「洞察(目に見えない心理などを読む)」
(野村克也著 リーダーのための「人を見抜く」力より)

データもまた、
人間観察のひとつの要素
だったということになります。

さて、評価制度の評価項目には
なんらかの数値目標を項目として
入れている会社が多いものです。

そしてその目標を達成するための
プロセスとなる重要な業務を
一緒に評価項目に入れています。

日常の指導ではこのプロセスとなる
重要な業務や行動ができているか、
どうかを観察してほしいと伝えています。

その業務や行動ができているか、
どうかの結果が、

目標数値であるからです。

ですが、
なかなかこの観察ができません。

どうしても結果のみ、
見てしまいます。

結果を見て注意するだけでは、
どうしたら良い結果を生むことが
できるか?の答えは出てきません。

「気をつけなさい」
「どうしてできないんだ」は、
だれでも言える言葉です。

これでは部下も、そして上司も
成長することはできません。

上司がやるべきことは

どうしたらできるのか。という
「気づきを与えること」です。

部下を観察しなければ、
それはわかりません。

観察は毎日見ることではありません。

毎日見られなくても
観察はできます。

野村監督は、
『データは変化を見る基準』
と言います。
http://野村監督.com/1730/

この言葉の意味を
あえて勝手な解釈を
お許しいただけるなら

どんな業務や行動をするのかを
あらかじめ共有していれば、

その質や量という
“情報や事実”(=データ)が
実際に目にする観察を
補ってくれる。

というものでもあると、
思うのです。

お読みいただき、ありがとうございました。

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