社員に数字を開示する本当の意味

第885号

少し前にパートの時給を7%アップしたことが
ニュースになったイオンが、ボーナスや退職金の
支給など正社員と同じ待遇にする制度を始めた
ということが大きく取り上げられていました。

イオンのパートの時給アップは以前ブログでも
取り上げました。

それほど人手不足は深刻で、
パート社員と正社員との
待遇差の解消は、

新規の採用をにらんでと、
既存パートのレベルアップによる
生産性向上が
目的なのだと思います。

求人に人が集まらないのは
どの業種も同様で、採用
するために苦労しています。

経営者の方は
募集に人が集まらないという
悩みもありますが、

どの程度、売上アップをしないと
採算が合わないのか
そこへの漠然とした不安も
あると思っています。

大切なことは、
人を増やすには売上を
増やさなければならない
という、

誰でもわかっているようで、
管理職など社員の皆さんと
危機感が共有できているかどうか、
だと思います。
———————————————————————–

経費負担が増えることは
わかっているけれど
人をとにかく雇わなければ
ならない、

という声もあるとは思うのですが
やはり、どの程度経費が
増えるのか、

まず、数字としてつかんでおく
ことは必要だと思います。

人件費は粗利から支払うので
まず知っておきたいことは
労働分配率です。

労働分配率は人件費÷粗利です。

人件費については、
経営指標として見るときは
「必要な利益を生むには、
労働分配率は何%以内で
なければならないか?」

という考え方になります。

一般的には60%を超えると
危険だと言われますが、
規模や業種が同じといっても
実際の状況はそれぞれ違うので
結局あまり当てになりません。

自社の過去5年程度の実績から
労働分配率の適正数値をみつけて
おくのが現実的だと思います。

一方で、

人を雇用するという視点から
見れば

「どこまで増やせるか」
ということになります。

利益を今より減らさずに採用
することを考えると、

売上(実際には粗利)は、
いくらアップする必要があるのか、

募集を出す前に、考えておく
ことになると思います。

賃金については

報酬(月額給与+賞与)計算し
そこに通勤手当、福利厚生費等、
給与以外の備品や消耗品費
その他付随する固定経費も加算
して考えることになります。

人件費をどこまで含めるのか
にもよりますし、

会社によって福利厚生費の水準も
違うでしょうから、

ほんとにざっくり言えば

年間の報酬が
20万円/月×12ヶ月+賞与で300万円

人ひとり雇用することで報酬以外の
固定費として30%増えると考えれば
300万円×30%=390万

総額390万円程度の固定費増になる
と考えればよいと思います。

そのためには売上を
いくら増やせばよいか、ですが

粗利率が30%の会社の場合
390万円÷0.3=1300万円

月額約110万円の売上アップが
必要ということになります。

この売上アップをどうやって
実現するか

ここを社員の方と話し合える
環境づくりのために
会社の数字を開示する、

本当の意味があるのだと
思っています。

人を雇用するというのは
どういう経営戦略があって、

人を増やすことで、
どのように売上が上がるのか(粗利が増えるのか)

そのイメージを持てるか
どうかが肝心です。

売上を上げることだけでなく、

イオンが生産性の向上を
意識したように

生産性(粗利÷総労働時間)が
落ちれば粗利が減ってしまいます。

粗利が減ると、粗利を確保するために、
人件費を削らなければならないという
悪循環に陥ります。

目指すところは、

人件費が増えても、それ以上に
粗利を増やすことだと私は思います。

簡単ではないですが、
厳しい状況のなかで
増やした人員を

会社の資本として
どう活かすか
定着させられるか

という、生産性向上が重要
だと思っています。

そのために、

どうやって売上を増やすか
生産性を上げるか

やり方がわからないからこそ
みんなで話し合うために、
数字で話ができることが
大切だと思います。

お読みいただき、ありがとうございました。
==============================
セミナー、その他のご案内(zoom)
==============================

人事評価制度の作り方 4月19日(水)
運用できる作り方のヒントがあります

効き脳診断オンラインセッション
https://www.suzukey-stone.com/2020/12/17/20201217/

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■

このブログを編集して、
メルマガを平日2回お届けしています。
ご希望の方は、 下記フォームよりご登録ください。

メルマガ申し込み
 

関連記事

コメントは利用できません。