評価制度の作り方は教科書通りでなくてもよい

第1072号

あらためて、主業務にしている
人事評価制度について、
作り方の簡単な流れを書く機会が
ありました。

実際のところは、その順番通りに作る
かと言えば、実は会社ごとに違います。

人と人が違うように、組織もそれぞれに
違います。

勘所を外さず、自社に合ったものを
作れば、
「評価制度を作っても役に立たない」
という結果にはならないと思います。

当たり前のように思いますが、
どこまでを原則通り、どこを応用してよいか
この塩梅がなかなか難しいものです。
——————————————-

「うちの会社も、そろそろ評価制度を
作ったほうがいいんじゃないか」
という一言から、

社長を中心に評価制度を作ろうと
される会社も多いと思います。

これまで出会ってきた事例だけでは
ありますが、

苦戦している会社は、
社長が自分の使いやすいように
アレンジして運用しているケースと

完璧に書籍やセミナーで学んだ通りに
作ろうとするケースの2つに分かれる
ように感じます。

先日、「どちらのほうが使いやすい
ですか?」

と、評価シートを2種類会社に示した
ときに、

「選べるんですか?」と驚かれました。

これは私も、あまりやらない提案では
あるのですが、

会社の規模、組織によっては、
ひな形のレイアウトなどをちょっと
変えても、

作る側が作りやすかったり、
説明しやすいほうが重要だと思って
います。

書籍やセミナーでは、どうしても
制約があって、原則について述べ
られていることが多いのですが、

それに合わない会社の場合、
結局、難しくて断念しました、

という残念なお声も聞きます。

法律で決まっているわけではない
ので、

洋服の袖丈を詰めたり、
裾上げして動きやすく
するように、

全体の型は変えない範囲で
変更することで、より運用
しやすくなるのであれば、

変えることを、躊躇する必要は
ないと思います。

例えば、30人の会社に、
今は少なくとも等級8等級まで
作る必要はありません。

単に社長にとって「使いやすい」
制度と、「自社に合った制度」は

当然ながら別ものです。

運用しやすくするために
手を加えて

「自社に合った制度」を作って、
それを ”やり切る”ことが重要です。

逆に言えば、

根気よく、やり続けるためにも
自社に合った制度であることが
重要になります。

単に使いやすいというものと
自社に合っているかどうかの
違いの判断をどこでするのかと
言えば、

そもそも作ったその年から、自社に
ぴったりフィットする制度になる
わけではなく、

洋服も着慣れて馴染んでいくように、

「完璧」ではなく「6割」の完成を
目指して作るという前提が大切です。

その場合でも、外せないのは、

その評価制度は、
・自社の社風、組織風土に合ったもの

具体的には経営理念やビジョン、ミッションに
繋がるものかどうか、

ということです。

「うちもそろそろ評価制度が必要
なんじゃないか」と社長がおっしゃる
その先には、

言語化されてはいなくても、目指す
ビジョンがあるはずなんだと思っています。

作り方を自社に合うように
変えることと

使いやすいように作ったら
方向性がブレたり、ズレたり
してしまう、ということの
分かれ目は

作る目的が明確で、言語化できるか
どうか、です。

そのためには、

たとえ、1か月で作れたとしても、
評価制度が会社に馴染むのは
2~3年後ですから

2~3年後の会社組織をイメージ
したビジョンが、会社の規模に関係
なく必要です。

「うちにはありません」という
会社も、会社の今期の目標数字
を決めているのであれば、

その数字を達成したときのイメージ
(状態の映像)が、即ちビジョン
ですから、社長自身も気づいて
いなくても、きっとあると思います。

キャリアパスも同様に、
1等級から3等級までのいわゆる
一般職層で10年留まる、という
のがよくある作り方ですが、

急激に成長していきたいと思う
導入期(いわゆるベンチャー)の
場合などは、

1等級~3等級までで10年、という
のは、受け入れにくいかもしれません。

会社の規模、創業年数に関係なく
目指すビジョンから逆算すれば、
10年で、どの程度まで育ってほしいのか、

自社にとってのモデル年数が出て
くると思います。

結局のところ、制度を作って続けて
いけるのは、

違和感なく受け入れられるかどうか、
です。

それは社員の方だけでなく、
作る側にとっても、同様です。

マインドを変えなければ運用できない、
というのは、正直難しいものです。

評価は1度作れば終わり、では
ないので

よほど大きな問題を抱えている
組織でなければ、

まずはこれまでやってきたやり方を
可視化して仕組みにすることをおすすめ
しているのはこういう意図もあります。

—————————
組織の現状を明確にしてから
理想の状態を描いて
その間にあるギャップを把握して
ギャップを埋める行動を選択する
————————–
これはビジネスコーチングで
使われる質問の型「GROWモデル」
です。

ギャップを埋める選択肢として
評価制度を捉えれば、

自社のビジョンを指標として
社長が見ている3歩先でなく
適切な理想とのギャップを
埋めるために、

学んだ評価制度の型のどこを
変えて自社に合わせるのか、
選別のヒントが見えてくると
思います。

そうすると、マインドを変える
のでもなく、使いやすさだけ
でもなく

自社にあった作り方に変えて
作れるようになると思います。

お読みいただきありがとうございました。
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