直接報酬と間接報酬

第1071号

4月入社者が、このまま会社にとどまるか、
転職を考えようかと最初に揺れるのが
3カ月目。

入社を決めた理由には、給与水準は
ベスト3には入っていなかったのが

離職理由となると、上司との人間関係、
業務のミスマッチに続いて、ベスト3に
はいってきます。

「賃金を上げないと社員は辞めていく」
という人事の悲痛な声も聞きますが、

やはり私は、賃金が上がらないから
辞めていく、

あるいは、賃金が上がれば辞めない
とは、言い切れないと思います。

直接報酬の金銭以外の、
『非金銭報酬(間接報酬)』という
ものがあると思っています。
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少なくとも、就職活動において、
今後のキャリアで自分の能力を高める、
成長する、と答えていたのが、

入社して数年で、処遇重視に傾くとは
考えにくいものがあります。

全員がそうとは言いませんが、
多くの社員は、賃金が上がらないから
ではなく

・賃金が上がる仕組みがわからない

・成長を実感できない

というような不満や将来への不安が
根底にあって、それを言語化すると、

ひっくるめて「処遇」が離職理由に
挙がってくるということのように思え
ます。

参照しました
株式会社ジェイック 新入社員調査
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000279.000060461.html


採用から定着までがワンセットの
「人材確保」で考えると、

入社した後、定着のためには
処遇の改善は、もちろん必要
ですが、

賃金という直接的な報酬以外の
『間接報酬』についても並行して
取り組むことが大切です。

間接報酬とは、非金銭的なものを指し、
たとえば、仕事のやりがい、役割、承認、
そして人間関係等も含まれます。

中、小規模の会社で、
同じ地域の同業他社との差別化
として、他社より高い初任給を設定
しているところもありますが、

差別化には、
同業他社にない制度や手当
仕組みがあるということも
選ばれる理由になります。

賃金アップにも限界があります。

そんなことは百も承知だ、と
言われそうですが、

それ以外の手段を考える必要が
やはりあると思います。

自社のターゲットごとに、
何が適切か、考えることが前提
ではありますが

たとえば、NISAやiDeCoが身近で、
学校でお金の授業を受けている
ような世代には、

確定拠出年金制度を導入している
ことも興味を引くでしょうし、

会社から近い借り上げ社宅や寮の
提供、奨学金返済支援など、

いろいろと考えられるものが
あります。

以前から導入している会社も
あるでしょうが、

今は、その訴求効果が時代と
ともに変わってきていると思い
ます。

定着のために工夫していること
として、手当を増額している
会社もあるかと思いますが、

どういう目的(定義)なのか、
実態とあっているか、

何より、それは社員が必要性を
感じているものか、どうか、

しっかり検討したうえで、
社員にも説明して導入しないと
かって賃金制度導入時に、手当の
改廃をしたはずの会社も

単に総額で〇〇円増えた、で
終わってしまう可能性があります。

何より大事なことは、会社にとっても
単なるコスト増でなく、

節税効果や助成金の利用など、

無理なく取り組めるかどうかも
大切です。

それは、会社の経費削減というよりも
これから人件費は増える一方のなかで、

原資をいかに有効配分できるかどうかが
大切だと思うからです。

これからも、人件費は増える一方です。

いかに賃金を金銭だけでなく、
非金銭も含めて、多面的に検討して、
決めていけるかどうかが、
賢い資金の使い方と言えると思います。

社員も会社も損しない賃金の決め方が
できることが、

長い目で見た人材確保ための大切な
取り組みのひとつになると思います。

お読みいただきありがとうございました。
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