
第1034号
中途採用が主体の会社を支援すること
が多いのですが、
人事評価制度がある会社の多くは、
基本給は年齢給+能力給の構成が多い
です。
社会の流れで言えば、年齢給は廃止へ、
となるのですが、
実際そういうご質問もいただきますが、
本当に廃止しても大丈夫でしょうか。
答えはAIではなく、会社の中にあります。
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「この会社の制度に年齢給があるのは
しょうがない」と私が思うのは、
新卒を採用している会社で、
一人前になるまでには
(会社にもよりますが)およそ5年
から10年ほどの年数が必要だと考え
ていて
一人前になるまでの生活保障給として
昇給しましょう、という考えの場合。
中途採用者について、評価で決定
する給与額については、
1等級の同じ金額から全員スタート
すると決めている場合。
このような理由がある場合、
年齢給はもう使えない、とは一概には
言えず、理にかなった実践型だとも
言えます。

新卒の給与は、先行投資で支払って
いるようなものだという考えにたてば
実力に応じて決定するということの
ほうが非現実的で、
毎年一定金額増える仕組みの属人給
と呼ばれる年齢給を
“ 一定年齢 ”まで付与する
という考え方は“ あり ”です。
ただ、国はジョブ型の導入を
後押ししていて、それは新卒採用も
例外ではありません。

国の『ジョブ型人事指針』から一部引用すると、
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
職務(ジョブ)ごとに
要求されるスキルを明らかにすることで、
労働者が自分の意思でリ・スキリングを
行え、職務を選択できる制度に移行して
いくことが重要である。
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_sihonsyugi/pdf/jobgatajinji.pdf
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
明らかに、年齢給等の名称の属人給は
廃止の方向に向かっています。
では、年齢給廃止=ジョブ型に向かう
のか、といえば、中小規模の企業では
そういう流れにはならないと思います。
そして、すでにジョブ型ではなく、
『スキルベース型』というような
形態が大企業の関心を集めています。
目に見えるスキル以外の経験値も
含めたスキルを軸にしようというもの
です。
乱暴な言い方をすれば、あるいは
名称だけで言うなら、
「能力給」が見直される日も近い
かも、と言えます。

だからこそ、当たり前のことですが、
なぜ、年齢給を廃止するのか
その目的を会社ごとに明確にする
必要があります。
私はここにきて、年齢給廃止に
中小企業もいよいよ舵を切らな
ければならなくなった理由として、
年齢や勤続年数を重ねていけば、
社員が成長して成果が上がって
いくという構図が、崩れたことが
あると思います。
変化の激しい今の時代は、
長く勤めることだけで組織の役に
立つ社員に成長できるかと言うと、
必ずしもそうとは言えません。
むしろ、ただ長く勤めているだけ
であれば、組織の成長発展を
大きく阻害することになりかね
ないこともあります。
それが
“ 働かないオジサン、オバサン ”を
生み出した要因のひとつとなり
ました。
さらに、毎年の賃上げが必須
となるのであれば、
成長の有無に関係なく自動的に
賃上げする仕組みは経営者として
受け入れがたい状況です。
でも、これもいわゆる一般論です。
専門家は、入れる箱は用意しますが、
中にAという小箱を入れるか、
Bという小箱をいれるかは、
会社が決めることです。

会社が年齢給を生活給と位置付け
るのなら、その瞬間に年齢給の設計
の目的が変わります。
目的が変われば、やり方が
変わります。
定年まで年齢給が上がり続ける
ということは、なくなります。
過去はAIに聞けますが、
未来の答えは、会社の中にしか
ありません。

そして、
人を育てるのは、やっぱり時間が
かかります。
人事評価だけでなく、
人に関する仕組みを作る時は
作った先の「運用」で、
どういう未来を描いているのか
はっきりさせておくことは、益々
重要になってくると思います。
お読みいただきありがとうございました。
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