合理的に判断するのは難しい

第738号

定例会議で会社を訪問すると、
社長が人事の責任者に

「今年はもうあと2~3名社員を採用するように」
と指示を出していました。

社員の方が急遽何人か休んでしまい、
このまま仕事を続けて、納期が守れない
ようなことになれば大変だ、
という危機感を感じた社長の言葉です。

今は乗り越えられても
次、そうだとは限りません。

そこで、やはり人が必要だ
と考えて、人事部への指示と
なりました。

今年の新規採用は充足している
そうなので、

社長の気持ちはよくわかりますが、

後から、余剰人員が増えただけ、
と、ならなければよいのですが。

ちょっと心配です。

つい、目の前の事態に反応
して判断してしまうことは、
よくあることです。

でもそのあと、いったん
立ち止まって考えてみれば、

たとえば時間軸を延ばして
考えれば

おそらく取るべき行動は
違ったものになります。

実際、深呼吸して、
いったん立ち止まって
考えなおしたよ、

というお話をうかがった
こともあります。

このとき道しるべとなるのは
前回もお伝えしたビジョンです。

現在、プロ野球のパリーグで
千葉ロッテマリーンズは第2位(8月27日現在)に
つけています。

ロッテはお菓子だけではなく、
球団経営もしています。

70年以上の歴史のあるチームですが、
2005年以来、リーグ優勝から
遠ざかっています。

今年、「千葉ロッテマリーンズ 理念」
を発表し、それを基に策定された
チームの中長期的なビジョンや
メッセージをまとめた「Team Voice」を
表明しました。

この理念誕生のきっかけを、河合球団社長が
インタビューで答えているのを読みました。
https://sports.yahoo.co.jp/column/detail/202108120003-spnavi

2019年のドラフトでは、データ分析
の結果から、自球団の弱みがピッチャーの
平均球速パ・リーグ最下位の克服である
として

指名第一位を高校野球で160キロ超を
投げる佐々木朗希選手に決定しました。

では、指名できなかったら、誰を指名
するのかという話になったとき、

「150キロ以上を投げる投手が必要」

だと、全員一致で指名選手を決めた
はずなのに、

「150キロ以上を投げる投手」
とは程遠い、技巧派の投手、
即戦力投手の名前が挙がってきて、

理屈はわかっていても「いざ」
となると簡単に揺らいでしまう
ことを実感したと言います。

そこで、誰もが共有できる理念や
ビジョン作りが重要なんだ、として
「Team Voice」づくりに至ったと
話しています。

その結果、出来上がったのが

未来永劫続く、
「千葉ロッテマリーンズ理念」であり

「3年後、5年後にはどうすべきか?」
を示す、中長期的なビジョンです。

千葉ロッテマリーンズのVision2025は
新たな常勝軍団に です。

中長期的なビジョンを持ちつつ、
同時に目の前の今季の戦いも
勝つというのは難しいことですが
あえてそれに挑戦しています。

勝負の世界はそんなに簡単でなく
ビジョンを明文化して掲げても、
今年の順位は現在第2位(8月27日現在)です。

1回の優勝でいいなら、
結果を求めて、すぐに効果の
出る方法に、揺らいでしまいますが、

「新たな常勝軍団に」という
現場とフロントで共有された
ビジョンがそれを押しとどめます。

今、コロナ禍という常時緊急事態の
ような状況下で、

なかなか先のことまで見越して、
合理的に判断することは難しい
ものです。

でも、そんなとき、
自社のビジョンや理念を
思い起こしていただければと
思います。

いったんコロナ禍を考えなければ、
5年後、10年後どうなっていたいですか?

何ができていれば、
それは達成されますか。

この問いの先に見えてくるのが
ビジョンです。

経営者の方には、
こんな問いかけを

難しいかもしれませんが、

だからこそ、

自分に向かって
していただければと
思っています。

ゴールから現状を見てみると、
視座が変わります。

視座が変われば、見えて
いなかったものが見えてきます。

でも、そんなことを自分だけで
考える時間も余裕もないときは、

頭に浮かぶ気が置けない
社外の専門家との時間が、
気づきの時間になればと
思います。

私も、社外の専門家を名乗る
ひとりとして、そうありたいと
思っています。

お読みいただき、ありがとうございました。

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