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残業問題のご相談
鈴木社会保険労務士事務所の鈴木です。
人を雇っていれば少なからず人事労務に関する諸問題は発生します。
このとき企業の皆さんが悩んでしまうのは、法律との兼ね合いです。 法律にそのまま当てはめてしまうと経営とひずみが生じてしまうという矛盾です。当然法律は遵守しなければなりません。
しかしながら
「残業代は支払わなければなりません」
「社員を解雇できません」
と言っているだけでは、企業経営は成り立ちません。
法律遵守を前提としていかに知恵をだして、解決していくかがポイントです。 人事労務管理のなかで、もっとも事業主の方が頭を悩ませるのが、労働時間管理です。
まだ「結果を出してくれれば、何時に来て、何時に帰ってくれてもいいんだ」と言っていませんか? これでは、従業員の労働時間の管理をしていないと指導を受けても仕方がありません。
今、この時間管理を徹底させることが急務です。
ある日労働基準監督署から是正勧告を受けてからでは、会社のリスクは計り知れません。 2年分の未払い残業代を支払わなければならなくなってからでは遅いのです。
残業問題から会社を守るためには
ケース1:監督指導による賃金不払残業の是正結果
平成22年10月、厚生労働省の発表によれば、平成21年4月から平成22年3月までの間に、不払いになっていた割増賃金の支払の指導が行われた結果、支払われた割増賃金合計額は116億298万円でした(前年度比80億1,053万円の減)。支払い額が1企業100万円以上となった企業を見ると、企業平均では950万円(労働者1人あたり10万円)、1企業での最高支払額は、12億4,206万円(飲食店)で、次いで11億561万円(銀行・信託業)、5億3,913万円(病院)の順となりました。
営業手当を支払っているから、課長だから残業代を支払っていなくても大丈夫という声を時々耳にします。
営業手当という名称でも、それが時間外残業代を支払ったものであることが明確化されていれば問題ありません。ただし、時給に換算すれば1,600円の営業マンが20時間残業しているのに時間外残業手当=営業手当が1万円では未払い残業代を支払っているとは言えず、法的に有効とは言えません。
課長職でも部長職でも職位に関係なく真に「管理監督者」かどうかで時間外残業代の適用除外にあたるかどうかは判断されます。
具体的には
(1)経営方針の決定に参画しまたは労務管理上の指揮権限を有しているか
(2)出退勤について厳格な規制を受けず自己の勤務時間について自由裁量を有する地位にあるか否か
(3)職務の重要性に見合う十分な役付手当等が支給されているか否か
(4)賞与について一般労働者に比べて優遇措置が講じられているか否か
等が判断のポイントになります。
「営業手当」にしても「管理監督者」についても、いずれも規程の中で明確に定義付けしておく必要があります。
最近では固定的残業代をあらかじめ毎月の給与に上乗せして支給する会社も見られますが、固定的残業代として支払っていても毎月の労働時間管理を逃れられるものではなく、固定的残業代の根拠となる時間数を超えて残業すればその時間数分の残業代は別個に支給しなければなりません。
中途半端な運用ではかえって是正勧告を受ける可能性がありますので注意が必要です。
ケース2:長時間労働による過労死
長時間労働による過労死の場合、死亡(発病)の直前1か月間に100時間以上の時間外労働があったような、漠然と長時間労働を継続させたことが起因したことが実証された場合に労災認定となります。
しかし、企業にとってはるかに大きなリスクは、遺族(本人)が会社を相手に起こす損害賠償の民事訴訟です。
会社は業務の遂行に当たり、労働者が生命・身体や健康などを危険から守るように配慮する義務をいい、この義務は、労働契約に付随する義務として使用者が当然に負うべきものとされています。
安全配慮義務とは、会社が労働者の長時間労働などについて何の対策も講じず、その長時間労働などを原因として、労働者が脳・心臓疾患を発症した場合、精神障害を発病したり、自殺に追い込まれた場合、安全配慮義務違反として、損害賠償義務を負うことになるのです。
民事訴訟の損害賠償ともなれば、その額は数千万円から数億円になることは必至で会社存続にも係る金額がのしかかってくるのです。
上場の準備中であれば、それだけで上場を断念せざるをえないかもしれません。会社の財務面、社外での信用面において決定的ともいえるダメージを負うことはまぬがれません。
ではどうすればよいのでしょうか?
裁判所が判決の基準とするのが、会社に「安全配慮義務」違反があったかどうかです。
これは極めて広範囲かつ抽象的な概念を会社が取るべき日常の手段に落とし込むと
- 法律に定められた安全管理体制(36協定・・安全管理者・衛生管理者・産業医など)を整備し有効に運用する。
- 定期健康診断を確実に実施し、異常があった者については産業医の指示に基づき、配転や勤務時間短縮(給与カットは可能)等の必要な措置を制度化する。
- 残業が恒常的に法定時間(月45時間)を超える社員には代休を取らせるなど、上司が仕事の割り振りについて相談指導にあたる。
- 1か月80時間を超える残業については社長の命令で禁止し、それが無理な場合は、他の社員へ仕事の割り振り、または増員を行うなどの対策を取る。
- 社員が何でも自由にモノが言える、風通しのいい企業風土を醸成する。
会社は社員の安全と健康を守るための基本的な方針をもち、その一つ一つを具体的に行動して積み重ねることしかありません。
これが過労死等を予防する唯一の道であり、また万が一にも過労死等が起きたときに、自社の責任(損害賠償額)を最小化するための唯一の手段です。
残業問題に悩みを抱えている社長さんは、ぜひお早めにご相談ください。










