人件費を無視した人事制度はありえない

第177号

そろそろ賞与についてご相談いただいたり、
評価シートを回収して評価を決定する時期が
やってきました。

人事制度の作成時、ヤマ場は

・評価項目の決定のとき

そして意外に難航するのが

・昇給や賞与原資をいくらにするか

というときです。

私が関与している
企業規模(10人~500人程度)だと、
評価シートの作成は、
大きいところでは各部長も加わった
プロジェクト形式で作りますが、

賃金や賞与設計は、これまでも
昇給、賞与の決定に関わっていた
方とだけで作ります。

これは
・評価は管理職や上司の仕事
・処遇の決定は経営陣の仕事

という考え方に基づきます。

実際には、社長と1対1であったり、
社長と役員、あるいは社長と人事部長という
方々と作成しています。

 

そこで、原資です。

これまでは、
前年対比で儲かっていたら、少し増やす
儲かっていなければ現状維持

こんな感じで”支払う1か月程度前”に、
決定していることが多いようです。

いわゆる”間際に決定”しているということですね。

 

新しく制度設計するとき、

私の場合は
賞与はあらかじめ評価ごとの
ポイント数を決めておきます。

事前に決めておくのはポイントと、
賞与原資はどういう算出方法をするか
です。

この賞与原資は、わかりやすく
粗利の〇%と設定できればよいのですが、

ご承知のとおり、粗利の中から
引かれるものがたくさんあっての
最終利益です。

ですから、ここは税引き前利益の〇%とか
会社独自の考え方が出てきます。

設定時のポイントは、額は
わからなくてよいので、

あらかじめ、総額の算出方法が
決まっているということ。

業績によって総額は変動する
ということ。


これが社員のみなさんに
伝わっていれば、よいです。

いざ支払う額を決定するときに、

全員のポイント数が500ポイント

原資が10,000,000円であれば、

10,000,000円÷総ポイント数(500)=ポイント単価20,000円
となります。

あとは、
評価による獲得ポイント数×20,000円=賞与額を決定。

昇給については、
まずはお金のブロックパズル等を使って、
会社のお金の流れをつかんでおきます。

そのうえで、今期人件費を予算化します。

昇給予定表を作って
会社の業績が高ければ
等級ごと、5段階評価ごとに
〇円アップする。

反対に会社の業績が悪ければ
等級ごと、5段階評価ごとに
〇円ダウンする。

これを支払い月の間際、あるいは支払いした後に
伝えるのでなく、事業年度の最初に伝えて、

自分達の力で業績を上げて、
その結果、高い昇給額を受け取ろう
という仕組みです。

 

社員が知りたいのは、
自分の成果と会社の業績は
どう関連しているのか。
ここを知りたいのです。

経営者の方が、
「社員にもう少し会社の業績に興味をもってほしい」

と願うなら、会社のお金の流れを
伝えることから始めてはどうでしょうか。

 

お金のブロックパズルを書く意味は、

業績と人件費がどのように
連動しているかを見るためです。


粗利(付加価値)が人件費の出どころである以上、
業績を見ないで、人件費を決めるのは間違いです。

賃金をアップしたからといって、
社員が定着するわけではありません。

お金がすべてではない、という意見も
ある意味、真実です。

でも、社員の成長に合わせて
賃金も上昇させていくのが
健全な関係性である以上、

” 業績を見ない人事制度はあり得ません ”

人件費を見るということは、
今期だけの数字を見るためではありません。

社員の成長に合わせて
人件費の増額を考えるなら、

人件費増額の財源を増やすために
どうすればよいかをチェックするためにも
人件費を投資という視点で、見る習慣を
つけたいものです。

お読みいただき、ありがとうございました。

つまるところ「人と組織」
社長の想いを語りなおして
強み×8割の社員が育つ仕組み×関係性を
デザインする鈴木早苗でした。

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